処理水放出を規制委が了承
- 2022年05月19日
原子力規制委員会が18日の会合で、フクシマ第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出する東電の実施計画について、「安全性に問題は無く原子炉等規制法や政府方針の要求を満たしている。」とした審査書案を了承し、今後約1ヶ月間のパブコメ(パブリックコメント)を行った後7月中にも認可することにしました。
実施計画は、東電が設備の設計や放出方法、放出後の環境や人への影響などを盛り込んだものですが、規制委員会がアリバイ作りのようにパブコメを行っても、基準に合致すると言っても、肝心の地元自治体が放出を疑問視していること、さらに福島県漁連とは「理解無しにいかなる処分(海洋放出)もしない」と約束していることから、規制委員会が認可しても実施できるかどうかは不透明です。
ましてや、政府は処理水と言っていますが、ALPSでは除去出来ないトリチウムが含まれている汚染水である事は、国民も規制委員会も知っていることです。
東電はトリチウムを海水で約40倍に希釈して放流するから大丈夫だと言いますが、誰がその保証をするのでしょうか。
ノーベル賞受賞の小柴昌俊教授は、供に世界的な物理学者でマックスウェル賞を受賞した長谷川晃教授と連名で「ITER(国際核融合実験装置)」の国内誘致に反対し、その理由として「燃料としてITER内に蓄えられる約2kgのトリチウムは、わずか1mgで致死量とされる猛毒で200万人の殺傷能力があり、これが酸素と結合して重水として流れ出すと周囲に極めて危険な状態を生み出す。」とトリチウムの危険性を指摘して、誘致に反対をしています。
また、著名な脳神経学者で環境脳神経科学情報センター代表の黒田洋一郎氏は、「日本ではアルツハイマー病、パーキンソン病ばかりではなく、統合失調症や一般の精神疾患も、フクシマ原発事故以降急速に増えている。発達障害、アルツハイマー病など脳関係の疾患については、トリチウムの脳神経への長期的蓄積による神経細胞などの異常、脳機能への影響の原因とすれば説明ができる。しかも、脳では一般の脂肪組織では無く、特に神経情報を運んでいる策軸に、トリチウムは残留・蓄積するので、他の組織とは違い、脳神経の機能回復回路に与える影響が甚大で、老化関連疾患、発達障害が、将来さらに増える危険がある。」と警鐘を鳴らしています。
トリチウムは自然界にも存在していますが、この間、世界中の原発から放出された人工トリチウムが地球上のトリチウム濃度を押し上げ、過去の自然トリチウム濃度の0.1~1Bq/リットルの10倍~100倍にあたる平均10Bq/リットルとなっています。
規制委員会の委員は原子力関連の専門家では有りますが、保健・医学の専門家ではありません。ましてや提出された計画案は東電が策定したものです。
さらに、政府が規制委員会に結論に至るまで時間がかかりすぎる圧力をかけています。
処理水の放出は、政府・東電・規制委員会が総ぐるみとなって、また大きな過ちを犯そうとしています。