処理水放流は容認できない(ブログ3272)
- 2023年07月08日
IAEAのグロッシ事務局長が、日本の福島原発処理水の海洋法流について「計画は国際的な安全基準に合致する」、「人体や環境への影響は無視できるほど」とした報告書を
岸田氏に手渡しました。
また、規制委員会は、海洋法流に関わる海水での希釈や放流管などの施設機能について、問題ないという検査結果を出しました。
これによって岸田氏は8月にも海洋放流を実施しようとしています。
「ちょっと待てよ」と思うのは私だけでしょうか。
米国のアジュン・マクヒジャニ米環境研究所長は、「IAEAは東京電力福島第1原発の処理水放出の正当性を十分検討しておらず、責任放棄である」と批判しました。
言われるとおりです。IAEAとはそういう組織なのでしょう。一説には原発推進の組織とも言われています。IAEAのグロッシ氏は、「この報告で、日本が放流するかどうかは日本の判断だ」として責任逃れの言葉も発しています。
トリチウムの生物への影響は無害とは確認されておらず、ましてや海の中は食物連鎖のるつぼです。食物連鎖は小さい魚から大型魚へと体内蓄積されていきます。体内蓄積された魚を人間が口に入れます。本当に大丈夫なのでしょうか。
21年4月の私のブログを再掲します。
<現在稼働しているALPSは3基ですが、2013年に東電が導入してから現在で8年間も「試験運転」のままとなっています。
ALPSは、米国ピュロライト社の技術を使用した試験装置で、いわばプロトタイプ型(問題点や改良点の洗い出しを目的として作成された原型機)の装置で、21年4月14日の参院資源エネルギー調査会において、共産党の山添拓議員が「ALPSは本格運転前の使用前検査も終わっていない」と追求、これに対し原子力規制委員会の更田委員長は「汚染水をいかに処理して貯留するかが非常に急がれていた。使用前検査等の手続きは飛ばしている部分があると思う」と明かしました。>
ALPSはプロトタイプのままで、試験運転ではストロンチウム90、コバルト60、ヨウ素129、炭素14などの核種を十分分離することが出来ず、基準値以下にすることが出来なく、それが国会の場でも明らかになりました。
このALPSで汚染水を再処理をして海洋放流をするようですが、これでも皆さんは海洋放流が妥当だと思われますか?
放流賛成派は、反対派に「反対ならば、処理水はどうするのだ。」と迫ります。
無論、「地上には保管する場所が無い。」ということを盾に取ってのことですが、本当に場所は無いのでしょうか。東電は廃炉する場合の機材置き場などの土地は十分に確保しています。一方、廃炉は何時になるのか目処も立っていません。であれば土地は十分にあります。
また、原水禁の声明には<東電が自ら国内外にトリチウム除去技術の公募を行った際に、国内42件、海外23件の応募があったことを公表しています。近畿大学では、ベーマイト処理を行った多孔質フィルターでのトリチウム除去技術の開発が行われており、政府や東電が主張する様にトリチウムは決して除去出来ないものではありません。
また、海洋放流以外にも地中挿入、水蒸気放出、電気分解による水素放出、固化した後の地下埋設などをどのように検討したのか。安易で安価な海洋放流がどのような検討の末に出された結論なのか、プロセスは透明性のあるものとは言えない。>と書かれています。
まさにその通りです。
いま、岸田氏が放流時期を決定しようとしているにも関わらず、東電の処理水対策の責任者である松本純一氏は、関係者との「約束は遵守するつもりだ。」?と話しています。
彼は、地元漁業者との間で「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない。」と約束したことを、それは「必要条件」では無く「十分条件」だ、と話した張本人です。
政府は、「関係者に理解をしてもらうために説明するだけで、納得してもらう必要は無い。」ということなのでしょう。 これが、これまで長きにわたって水産業の方々が献金をし、投票して支えてきた政府自民党の本質なのです。容認するわけにはいきません。