北方領土・軽い位置づけ
- 2021年10月21日
岸田内閣の西銘恒三郎沖縄・北方担当相が就任後初めて根室市内を視察して北方四島の元島民らと意見交換をした事が報じられていました。
西銘氏は沖縄県4区選出で当選5回の衆議院議員です。
これまで、国交大臣政務官、総務副大臣、経産副大臣、衆院安全保障委員長を歴任され今回の抜擢となったようです。
国交省は全ての国土保全を主務としますし、総務省は都道府県・市町村の自治権を所管します。そして経産省は、各国との経済協調も所管する官庁であり、安全保障委員会は当然のこととして極東アジアとの平和と安全を議論する委員会です。
これら各省の政務三役として、また議論を調整する立場として、北方領土問題は中心的な課題だったはずです。
その西銘氏に対して、元島民らで作る「千島・歯舞諸島居住者連盟」が下記の要望書を提出しました。
①四島返還に向けた強力な外交交渉
②四島交流事業の円滑な実施と安全対策
③四島に残る元島民の不動産などの財産の保護
など、これまでも北方担当大臣が視察する度に提出していた内容です。
そして、「墓地は領土の証であり、返還運動のシンボル。元島民、親族はやり場のない思いだ。」とその心情も訴えました。
西銘氏は「関係省庁と連携を取って頑張りたい。」、と答えたとのことですが、これが担当大臣の言葉だとすると何とも情けない。こんな言葉なら誰にでも答えられます。
また、視察後の記者会見で、「関係閣僚が毎年替わる中で北方対策をどう行っていくのか。」と問われても、「啓発のために教員試験に北方領土に関する問題を導入すべき。」などトンチンカンな答弁、 財産権保護については「財産権の問題をまだ把握していない。」
、これでは元島民の代表が「大臣が来る度に同じ要望を続けている。何が解決したのか教えて欲しい。」、「沖縄・北方担当のポストが軽い。もう要望するのに疲れた。」と吐露する気持ちも十分すぎるほど解ります。全く情けない、北方領土担当としての自覚さえ感じられない大臣です。
通常、大臣が視察するときには、関係者からどのような訴えがあり、どのような内容の要望書が手渡されるかは、担当官僚が事前に掌握して大臣にレクチャーするものです。
まさか、わざと教えなかったのか?自分のボスに恥じをかかせるのが目的か?
そんなことは無いと思います。にも関わらず、まともな答えもその場を取り繕う言葉も無く、島民の方々は、ただただ失望しただけの面会だったと思います。
ちなみに、沖縄及び北方対策担当大臣とうポストは、2001年1月6日第2次森内閣から設置され、初代:橋本龍太郎氏、2代:尾見孝次氏、3代:細田博之氏と、そうそうたるメンバー
第1次小泉内閣第2次改造内閣からは内閣府特命大臣(沖縄及び北方対策担当)となり、
茂木敏充氏、小池百合子氏、高市早苗氏、岸田文雄氏、林幹雄氏など、民主党政権に移行してからは、前原誠司氏、馬淵澄夫氏、枝野幸男氏、川端達夫氏、樽床伸二氏と、これもそうそうたるメンバーでした。
しかし、第2次安倍内閣になると、山本一太氏、河野太郎氏以外は聞いたことの無いような方々が続き、まさしく軽いポストとなってしまいました。
歴代の内閣はこれまで沖縄そして北方領土を政治の主課題と位置づけてきましたが、安倍内閣からはその他の課題へと移行したことをことを意味します。
元島民の皆さんは、軽く扱われていることに怒りを持つべきです。
怒りは行動を促します。行動は政治を変えます。投票はあなたの声です。