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千葉工大の気概

  • 2022年05月16日

 昨日の道新の1面全面広告が目を引きました。

 千葉工業大学が創立80周年を迎えた記念事業として出した全面広告なのでしょう。

 北海道新聞という地方紙に掲載したのですから、全国紙は勿論47都道府県の地元紙にも同様に掲載したのではないかと思います。

 日本の私立工業大学としては一番歴史が長く、現在では年間11万人が出願し、新入生は約2,300人、在校生は約1万人というマンモス私大というのが概要ですが、詳しく知りたい方は、ネットでもお調べください。

 既に皆さんも広告を見て驚かれたと思いますが、黒地に臙脂色(えんじいろ)で紙面の3分の2を占める大書きで、 “すべての科学者に告ぐ。” 余白3分の1に “世界は急速に、良くない方向へ進んでいる。その真ん中に科学技術が存在していることは、否定できない事実である。最先端の技術が、他国の軍事力を凌駕するために利用される。命を救うための研究が兵器に応用され、いとも簡単に人命を奪う。戦争によって、技術革新は進んでゆく。その葛藤に我々は苦しみ続けてきた。しかし、科学者達よ。今こそ声を上げるべきだ。すべての技術は人間を幸福にするために生まれ、世界に平和をもたらすためにのみ生かされるべきだと。”<千葉工業大学 本日、創立80周年を迎えました。>

 と掲載されていました。

 政府が軍事目的に活用できそうな研究に資金を提供する制度を創設、その後、日本学術会議が、太平洋戦争時、大学が軍に協力した歴史を踏まえて、「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない。」、「軍事目的の科学研究は行わない。」とする過去の声明を継承した声明を出しました。

 その事が腹に据えかねたのか、2020年に菅氏が日本学術会議の委員6名の任命を拒否するという暴挙に出て、今も任命拒否は継続されたままとなっています。

 今、2022年通常国会で「経済安保法案」が可決しました。この法案によって、軍事に転用できる研究を潤沢な資金で囲い込もうとする事も可能となりますし、その研究が外部に漏れた場合には研究者に罰則を科すことも出来ることになりました。

 すなわち、日本の学術研究が軍事に転用されるという現実が徐々に高まっているということです。

 そのような状況下にあって千葉工業大学は、科学者たる者、自らの研究は世界平和にこそ貢献すべきで、人命を奪う戦争には加担すべきではないことを改めて全国に訴え、そして科学者に警鐘を鳴らすことを目的にこの衝撃的な広告を掲載したのでしょう。

 創立80周年記年事業としての千葉工業大学の行動に、その気概を見た気がします。


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