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厚真火発の液状化

  • 2018年09月16日

 9月6日未明に起きた胆振東部地震、地震の直接的な被害で、41名もの方がお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈りいたします。

 そして、地震の直接的な被害の他に、この震災は苫東厚真火発の停止により全道がブラックアウトに陥るという、今まで経験のしたことのない事態をも招いてしまいました。

 地震による影響で、厚真火発1・2・4号機内に不都合が生じたことによるものですが、この苫東厚真火発の地盤にも問題があったようです。

 朝日新聞社が地盤工学の北大・渡部要一教授をヘリコプターに同乗させ、苫東厚真火発上空から発電所を撮影し、分析をした結果、発電所の敷地内で道路の陥没や砂が噴き出すという「液状化現象」が数カ所で見つかり、朝日新聞の取材で北電も液状化の発生を認めたとのことです。

 経産省は、苫東厚真火発の1号機を再開し、2・4号機を含めた全面復旧を11月以降としていましたが、この液状化の発生で、全面復旧にはさらに時間がかかる事態も懸念されるようです。

 札幌の清田区でも同じく液状化が起き、街並みは無惨な姿を晒しています。

 この地に住宅を建てた方々は、この土地が埋め立て(盛り土)られていたことを行政から知らされていなく、市が策定した「大規模盛土造成地マップ」にも載っていなかったことを問題視しています。

 一方、苫東厚真火発ですが、ことは大規模火力発電所の建設に関わることです。

 当然、建設予定地の地盤・地質について、相当過去に遡ってどのような歴史的な経緯を辿っていた土地なのか、原発のような活断層や過去の地震という数万年規模の調査は必要ないまでも、地震による地盤の変化や地質による影響、液状化の危険がないかは当然調査されるべきものではないでしょうか。

 この地に大規模火力発電所を建設したのは、苫東港湾が近く火発の原料である石炭の運搬に利便性が有るというコスト論からの判断のようですが、一番の大事にしなければならないのは建設予定地の地盤・地質であるはずです。

 北電が液状化を認めたことから、敷地内で数カ所のボーリング調査が必要となりますし、その結果、今後も地震による液状化が懸念される場合は地盤改良が必要となってくるでしょう。

 北電の現場の皆さんが電源復旧に向けて昼夜を分かたず努力されておられる事について、心から敬意を表しますが、発電所の建設や稼働に関わる上層部の判断は、必ずしも当を得たものとはならず、逆にやってきたことの多くが裏目に出てしまう結果のようです。

 今回の胆振東部地震の震源地の近くには活動が活発な「石狩低地東縁断層帯」が控えています。

 これからは分散型の発電が望まれますが、当面は苫東厚真火発がこれまで同様に北海道の電源供給の主要な位置を占めることになるのであれば、なおのこと次の電源喪失は避けなければなりません。

 北電には情報を開示して、十分な対応を行うことを望みます。


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