原子力委員会の新指針
- 2018年08月10日
内閣府の原子力委員会が、原発の使用済み核燃料から抽出されるプルトニウムの保有量を削減するための新指針をまとめました。
ご存じの通り、日本は現在47tものプルトニウムを国内外に保有しており、これは原発6,000発に相当し、海外からも厳しい目を向けられております。
ましてや、与党の中には日本の核保有を論じる国会議員もおり、さらに憲法9条改憲を標榜するトップが国会で1強という状況にあることや、核兵器製造に関わる科学的・技術的な水準も整っていることが、世界にとっては少なからずの脅威となっています。
この懸念を払拭したいというのが、今回の新指針の目的ですが、この指針自体矛盾を抱えています。
保有量を削減するためには、プルトニウムを再処理したMOX燃料を既存の原発で燃焼するプルサーマル計画の他に手だてがありません。
しかし、現在プルサーマル計画を取り入れ、MOX燃料を使用している原発は4基にとどまっています。
一方、現在稼働中の原発は、大飯原発2基、高浜原発2基、玄海原発2基、川内原発2基、伊方原発1基の計9基、新規制基準による設置変更許可済みですが、まだ稼働していない原発が5基となっていますが、稼働中の9基も定期点検などにより18年8月時点で稼働しているのは5基となっています。
原発が稼働すれば、当然使用済み核燃料も排出されるということです。
仮に14基が稼働した場合は、もっと多くの使用済み核燃料が排出されるわけで、これを再処理すれば、新たなプルトニウムが生まれてきます。
日本は、「もんじゅ」が破綻しても核燃サイクルを諦めずに基本政策としていますので、六ヶ所村の核燃再処理工場が稼働すれば、最大で年間8tのプルトニウムが取り出されることになります。
それでなくとも、現在、全国にある原発の燃料プールには使用済み核燃料が溢れそうになっています。
また、プルトニウム削減の唯一の方法であるMOX燃料の消費は、原発で1基で年約0,5t、現在4基ですから年間約2tの消費、単純に考えれば、年間2tの消費に対し核燃サイクルで新たに8tが抽出される事になりますから、保有している47tは、年間6tづつ上積みされる計算になります。
保有する47tのプルトニウムを削減するとしながら、再処理工場で新たなプルトニウムを抽出するとは、理屈に合いません。
頭の良いはずの原子力委員会の方々、小学生でも計算できる矛盾に満ちた数字を、世界に周知するとは、あまりにも恥ずかしくありませんか?