原発と再エネ(ブログ3433)
- 2023年12月23日
原発を推進しようとしている方々の理由は「原発は二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化対策には必要だ」ということです。
先般のCOP28でも、「再生可能エネルギーの発電容量を今の3倍にする」と110ヶ国が言いつつ、一方で日本を含む21ヶ国が「原発の発電容量を現在の3倍にする」と言うことも宣誓しました。何が何だか分かりません。
つまり、再生可能エネルギーを今の三倍とする努力はするが、一方で、原発も大事だということなのでしょう。
どちらをベースロード電源にするかも明らかにせず、「二兎を追う」ことで帳尻を合わせるような結論は、まさしく国際会議だなあと呆れてしまいました。
一方、化石燃料を極力避けようとするかのようですが、産油国にも気を遣い化石燃料による火発を禁止する方向へは舵を切らず、削減への努力になったようです。
さて、再生可能エネルギーによる発電と原子力による発電は、両立の出来るエネルギー政策なのでしょうか。
原発は、発電量が常に一定であり、再生可能エネルギーは常に変動のある発電です。
専門の方はご存じのように、発電量に変動のない原発と変動のある再生可能エネルギーをミックスすると電力供給システムが機能しなくなり、その結果送電網が不安定になり、発電コストが高くなります。九州において夏場に太陽光発電の出力抑制が行なわれ出したのは、そういう理由からです。
それ故に、過去は原発を稼働させた場合に、電力消費量に併せて火力発電で供給量を調整していました。火発は出力調整が得意だからです。
ちなみに、原発は稼働させると24時間定量発電となるので、北電なども夜間電力を利用して蓄熱暖房機や蓄熱温水器を稼働させる事を推奨し、一般的に消費が極端に下がる夜間電力料金を安くしてきました。
さて、本題ですが、再生可能エネルギーを増やしたいのであれば、原発は縮小していくしかないのです。逆に原発を増やすのであれば再生可能エネルギーは縮小しなければなりません。
日本政府が言っていることは、さも、国民に聞こえやすい政策ですが、一方では矛盾した政策と言うことにもなります。
これから原発を新設するには最低でも15年~20年かかります。したがって、既存の原発の60年超の稼働を進めようとしています。
しかし、再生可能エネルギーの発電容量を3倍にするためには、既存の原発を3分の1に縮小しなければならない事になります。先ほどの理由です。原発と再生可能エネルギーとは両立が出来ないと言うことではないでしょうか。