参院選の争点は年金
- 2019年07月09日
今回の参議院選挙の争点について、政権与党は年金問題を避けたい一心から争点隠しをしています。
年金問題について安倍晋三氏は、この間、マクロ経済スライドという制度を導入し、結果として0.1%年金をアップできたではないですかと自慢していますが、以前も述べたように、マクロ経済スライドを誤解してはなりません。
マクロ経済スライドとは景気に合わせて年金額をスライドさせる、つまり、民間の給料が上がればその上昇率併せて年金額を増額し、その逆に給料などの所得が下がればその減額率に合わせて年金も減額するというものと理解されていますが、実際は年金の増額にキャップ(上限)をかぶせるというものです。
従って、マクロ経済スライドとは年金の増額を抑制し、減額させる機能のことを意味します。
さて、先ほど年金が0.1%アップしたと安倍晋三氏がその成果を自慢していると述べましたが、0.1%とは具体的にいくらなのでしょうか。
安倍晋三氏が言っているのは基礎年金額(国民年金支給額)のことで、支給額は月額約6万5,000円ですから、1%の増額は65円ということになります。
1か月65円だけ増額ですから、1日に換算すると約2円ということになります。
1カ月に65円とはカップラーメンの価格の半分でしかないということです。
言い換えればこの増額では、2ケ月でやっとカップラーメン1個を購入できるだけの増額でしかありません。
マクロ経済スライドをこのまま続けていくと、2040年の試算では年金支給額は1か月4万5,000円となってしまいます。
今回の参議院議員選挙も争点は、政府が生活出来る年金を維持するかどうかです。
ご存じの通り、憲法25条は「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定しています。
今でさえも年金月額6万5,000円では生活が出来ず、生活保護の受給者のほぼ半分は高齢者を含めた年金受給者となっています。
本来、年金は国民が高齢になった時に国が最低生活を保障するという制度ですから、不足分を生活保護に依存するということはおかしなことではないでしょうか。
生活保護制度の財源は、国が4分の3、自治体が4分の1を負担します。
したがって、年金による生活費の不足分を生活保護費で補うということは、国が自治体の財源をあてにするということになります。
年金は国の義務ですが、その財源の一部を結果的に自治体財政に依存するということの理不尽さを有権者の皆さんは大きな問題として意識すべきです。
そして、まさしく年金問題が、今回の参議院選挙の争点なのです。