台湾の避難所(ブログ3534)
- 2024年04月05日
台湾の地震は、マグニチュード7.7という大地震でした。
花蓮の街は、背後の山崩れによる被害や激しい揺れによる建物の崩壊など、能登半島地震とは少し被害の様相を異にしますが、それにしても多くの被災された方々に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。
さて、今回の台湾地震と日本の地震を比較して、その避難所の違いを報道を通じて目にされた皆さんは、なぜ、こんなに違うのかと思われたのではないでしょうか。
まさしく日本の避難所の現状は、難民生活を強いているようなもので、「避難者はお世話になっているのだから我慢するのが当たりまえ」と言わんばかりです。
広い体育館にブルーシートを敷いて、毛布にくるまっての雑魚寝、プライバシーはそのかけらも無く、赤ちゃんの泣き声を気にして夜も外であやす母親、水が足りなくトイレが不衛生で十分機能しない、そして水分を控え持病が悪化する高齢者、避難所の運営が男性中心となることから、女性への配慮が考慮されにくい、食事は冷えた弁当とおにぎり、カップラーメンなど、それ以外にも普通の生活とは雲泥の差の中で、避難生活を続け根蹴ればなりません。
しかし、台湾では広い体育館に世帯事のテントが用意され、テント内にはベッド、そして、食事は温食が提供されます。
私の1月28日のブログで、欧米の、とりわけ地震の多いイタリアの避難所について掲載しましたので、一部を再掲します。
<日本と同様に地震の多いイタリアでは、避難所の設置基準が法律で明確に定められており、大型のテントが原則として家族単位に割り当てられ、プライバシーが確保された状況でベッドで寝起きが出来ます。エアコンも確保されているケースも有ります。
仮設トイレもトイレと洗面がセットになったユニットが提供される事が多く、限りなく普段の生活に近い状況を提供する考えで避難所が運営されています。
また、避難所の食事でも大きな違いがあります。
欧米各国では被災地で調理する事が原則であり、暖かい食事を摂取する事が可能になっています。そのためのボランティアも多く、プロの調理師も配置されるようになっており、暖かいだけでは無く、ワインやデザートなども加わった食事が摂れます。決して贅沢では無く、被災者の身体的・精神的なケアも考慮されたものとなっています。>
更にトイレの男女比は1:3で女性強が多く、洗面ユニットにはシャワーの設置も考慮されています。
そして、この考え方のベースとなっているのが「スフィア基準」です。
避難生活に「人権」と併せて「人道」を基本に、様々な基準を設けており、政府や自治体は全て「人道」の立場で被災者に手厚く対応しています。
自然災害は、個人の責任では無く、もしも、大規模な自然災害で避難を余儀なくされた場合は、行政の責任でなるべく普段の生活に近い環境を用意することになっています。
そのために、テントや仮設ベッド、トイレトレーラー、キッチンカー、ランドリー車などが自治体や地域に備蓄されており、災害があれば24時間以内にテントやベッドなどが設置され、48時間以内に温食が提供されます。
ナゼ日本は神戸淡路大震災や東日本大震災を経験しても、避難所は何も変わらないのでしょうか。
内閣府の「防災計画」には「スフィア基準」を参考にしてと書かれていますが、そのための予算措置は行われておらず、単なる「お題目」としか受け止められません。
道議会において3月12日、13日の予算特別委員会で、私は、道の防災計画に「スフィア基準」を基にした避難所の改善を図るべきと質問を行いましたが、道は、「避難所の質の向上にあたり、参考にすべき考え方の一つである。」との認識を示しましたが、残念ながら「それに近づける努力をする」とは答えませんでした。
道の職員も自らが避難者になった場合という、意識がどうやら少ない様です。そしてそれは政府も同様ですが、多くの方々が声を大きくして、他人事では無い避難所生活の改善に向けていかなければなりません。