告訴と告発(ブログ3672)
- 2024年08月30日
道は、株式会社電通プロモーションエグゼ社(エグゼ社)による過請求事案について、昨日付けで道警に詐欺の疑いで告発状を提出したことが発表されました。
この事件は、新型コロナウィルス感染症の対策として実施したコールセンター業務において、発注元の道に対し約1億5,800万円の水増し請求を行った事案です。さらに、この事業は道との契約で再委託を禁じられていましたが、電通北海道は、それを無視して子会社のエグゼに再委託、そのエグゼ社は、さらに孫請けのコールセンターに再々委託、その際に水増し請求することを指示し、水増し額は2年間(21年~22年)で1億5,800万円にも及びました。
この事案において、道としても委託料の支出に関し、出納局も当該の保健福祉部も経済部も厳密が精査が行われず、言われるままに支払ったという行政内部の杜撰さも露わになりました。
ともあれ、道はエグゼ社に損害金の返還を求める一方、1年間(23年9月15日~24年9月14日)の入札禁止の行政処分を科しました。
しかし、この事案は金を返せば済むという問題では無く入札行為の禁止という行政処分の他に、「詐欺罪」として告訴すべきと予算特別委員会で主張した際に、保健福祉部は告訴も含めて検討したいと答弁、その後の知事総括質疑では「同社の不適切行為について告訴して参る。」と答弁していました。
もう一つの同種事案として、人材派遣会社のシグマスタッフ社が道と苫小牧市から委託を受けた介護スタッフの派遣事業の水増し請求(道分1億4,000万円)について、道は今年7月29日に道警へ「告訴」を行いました。
はて?ここで疑問が生じました。
冒頭に記載したように、道はエグゼ社について道警に「告発状を提出」しましたが、知事は告訴すると答弁をしており、同種のシグマスタッフ社については「告訴」しましたが、なぜかエグゼ社は「告発状」の提出となっています。
告訴と告発の違いは、<告訴とは、告訴権を有する犯罪被害者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める事。告発とは、告訴権者以外の者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める事。>つまり、告訴と告発の違いは<犯罪被害者(この事案の場合は道)が行う行為であり、告発は第三者が行う行為>という違いがあります。
なぜ、道は被害当事者としてシグマスタッフ社を告訴とし、エグゼ社については被害当事者でありながら第三者の行為である告発状の提出にしたのか。
明確な説明がありません。なぜ、電通に違う対応をするのでしょう。そこには何かがあるのでしょうか。
また、9月14日には1年間の入札行為の禁止期間が解けますが、告訴ないし告発している相手を入札解除とするのも理解し難いと思います。
さて、道はどのように対応するのでしょうか。