嘘の施政執行方針演説
- 2019年03月23日
今年1月28日に行われた安倍晋三氏の施政執行方針の内容が、衆議院文科委員会で問題になりました。
立憲民主党の河内博史衆議が問題視したのは、施政執行方針の中の「児童扶養手当の増額、給付型奨学金の創設を進める中で、一人親家庭の大学進学率は24%から42%に上昇し、悪化を続けていた子どもの総体的貧困率も、初めて減少に転じ、大幅に改善しました。」というくだりです。
このまま受け止めれば、安倍政権の行った政策で子どもの貧困問題が解決の方向に進んでいるかのように思われますが、一人親家庭の大学進学率42%の調査は16年11月に行われ、児童扶養手当の増額はその1ヶ月後の16年12月から、そして、給付型奨学金は調査の5ヶ月後の17年4月から実施されているいます。
すなわち、大学進学率が42%と判った時点では、児童扶養手当の増額も給付型奨学金制度も実施されていないということです。
実施されていないにも関わらず、その効果が現れたと「嘘」の施政執行方針演説をしたことになります。
そのことを河内議員から指摘された厚労省の藤原朋子・児童虐待防止等総合対策室長は、「直接の因果関係はない」と認めざるを得ませんでした。
施政執行方針は、総理が年頭に国の方針を国民に伝える重たいもので、都道府県知事や市町村長も同様に自らの自治体の方針を語る重要な演説です。
毎月勤労調査やその他の統計が国の施策に大きく関わるのと同じく、施政執行方針演説は、その年1年の政策や行政執行についての見解をガバナーとしての責任の下に述べるものです。
そこに嘘の成果を披露するとは・・・。これは、国民を欺く印象操作以外の何ものでもありません。