国と北電に忖度か
- 2018年10月11日
道新で、「9・6胆振東部地震:検証:連鎖の構図~ブラックアウト~」の特集記事が10日から4回連載で始まりました。
1回目は<制御不能:「想定外」混乱の北電>、2回目は<電源集中:効率追求「厚真」に依存> 。
初めての経験であるブラックアウト、なぜブラックアウトは起きたのか、その深層に迫る道新の取材力に期待したいと思います。
今回のブラックアウトは、道内に甚大な影響を及ぼしました。
そして、その原因は厚真火力発電所1カ所に大きく依存した北電の経営体質にあり、コスト至上主義が招いた結果であることは、多くの道民の知るところであり、さらに、厚真火発の1・2・4号機全喪失を想定した対処と訓練に大きな甘さがあったこと等が指摘されます。
9億6,000万円もの損害を被った「コープさっぽろ」が、北電にその損害賠償を請求することを検討したのも当然ですし、これに追随するように他の企業も検討を始めたようですが、ここに至っておかしな雰囲気になってきました。
当初から北電の責任問題には触れないことで始まった経産省の検証委員会、この検証委員会の委員が北電の復旧作業について「大変真摯な対応」、「現場職員は立派な仕事をした」、「復旧対応に矜持があった」と発言しましたが、私はこのように北電をヨイショするような姿勢に違和感を覚えます。
検証委員会が、ブラックアウトの「原因」だけをを調べる事についても、摩訶不思議という気がします。
それだけでは今回のブラックアウトに至った全容が明らかになりません。
その原因を招いた主因を明らかにすることこそが、今後の事故を未然に防ぐ道につながると思います。
一方、「コープさっぽろ」が賠償請求する検討を見送った記事が掲載され、道議会において「北電の責任は極めて重い」と発言していた高橋はるみ知事がすっかりトーンダウンするなど、国の検証委員会が責任には触れないとうこと鑑みて、まさしく「忖度」をしているとしか思えません。
復旧に対して現場の職員が不休・不眠で対応した事には心からの敬意を表しますが、全道民に多大な被害と、不安、迷惑を与えた北電には責任が無いかのような異様な雰囲気が作られ始めるのはいかがなものでしょう。
何をやっても誰も責任を取らないどこかの政府、福島原発事故においても誰も責任は取りませんでした。
今回も、これだけの事が起きながら、最大級の災害を想定しながら被害を最低限に抑えるように事前の準備を怠っていた北電、コスト至上主義経営の中でリスクの大きい集中発電を続け、一方で役員報酬を引き上げてきた北電。
道新の特集が事に深層に迫る記事になるよう期待したいと思います。