国の指示権は最小限に(ブログ3390)
- 2023年11月10日
地方制度調査会(地制調)の専門委員会が新型コロナウィルス禍を教訓に、地方への関与を強めるための国の権限の拡大に関する答申をまとめました。
内容は<災害時や感染症拡大などの非常時であれば、個別法に規定がなくても、自治体に傷病者搬送や店舗の営業制限などの必要な指示が出来る>というもの。この新ルールを法制化しようとするもので、決定すれば自治体は対応義務を負うことになります。
自治体側は、「指示が乱発されれば地方の自主性が損なわれる」として戸惑いを隠せません。
この根底にあったのは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染で都道府県を越えた患者の移送調整が難航し受入れが滞ったことから、政府が必要な措置を指示できる様にしなければならないというものでした。
振り返りますと、この時は、まず、厚労省も「新型コロナウィルス」がどんなものか解らなかったこと、感染拡大が急速に進むことが想定出来ていなかったこと、治療方法が試行錯誤を繰り返しだったこと、効果的な対処ができなかったこと、広域的な患者搬送のコーディネートが不備だったこと等があったのではないかと思います。
今回の新型コロナウィルス禍は、急速な拡大を引き起こす感染症に対して、どのような対処を行うべきかを教訓として知らしめました。
一方、大災害は、阪神淡路大震災、東日本大震災・福島第1原発事故、熊本県の豪雨災害などの他にも、多くの災害対策の教訓を残しました。
そして、これらの災禍を教訓として、次の場合に備えるのが行政です。
この間のコロナ禍や自然災害では、政府が災禍の現場の状況を把握せず勝手に様々なことを指示したことや、災害復旧に忙しい現場に政府のお偉いさん達が視察に入り、首長達がその対応にも時間を割かなければならないなど、まさしく多くの反省を残しました。
その結論は、現場のことは現場に任せて欲しい、そして、現場に多くのそして大きな権限を与えて欲しいと言うものだったのではないでしょうか。
イタズラに政府の指示権を拡大して、現場へ介入することを自治体首長は望んでいないと思いますし、まさしく政府による自治権の介入と拡大に門戸を開くことになります。
自治体間の広域連携には都道府県という組織が存在します。
政府は、基礎自治体や広域自治体の要請によって様々な支援を迅速に行うことに主眼を置き、そのためにもこれまでの教訓を活かした日頃からの防災連携を強化すべきだと思います。