国際公約違反
- 2020年07月01日
香港が大変な事になっています。
ご存じの通り、中国全人代常務委員会が1国2制度として「高度自治」の実現を国際公約した香港に対し、「香港国家安全維持法」を可決し即日施行してしまいました。
1839年、清王朝と英国の間で勃発したアヘン戦争を経て1842年に結ばれた南京条約により香港島は英国に永久割譲され、その後、九龍島南部と北部も英国に割譲されて以降1898年に永久割譲から99年間の租借に変更、その約束通り1997年中国へ返還された時に「香港特別自治区」を発足し、高度の自治や独自の司法制度を持ち国際参加が可能で言論・出版の自由、集会やデモの自由を可能とする「1国2制度」を今後50年間継続するという事が国際的な公約だったはずです。
それが約束の半分にも満たない23年間で、大国と呼ばれる中国が約束を反故にしてしまいました。
中国本土は、情報や言論が極端に制約されており、未だにネットも検閲されて国内はもとより世界の情報に国民は触れる事が出来ません。
昨年11月に中国の哈爾浜、大連、上海を訪問した時ですが、ホテルのテレビの日本語放送はNHKだけでしたのでNHKニュースを見ていますと、突然テレビの画像が中断してしまいました。
中断している時に流れていたのは、「香港逃亡犯条例改正案」に反対するデモ隊と警察官との衝突に関わる報道だったようです。
この時、外国人が宿泊するホテルの日本語ニュースさえも情報操作がされるという現実に触れ、中国政府にとって好ましくない情報は国民には与えないという徹底ぶりを痛感しました。
このデモに対して中国政府が軍を投入しようとしましたが国際的な批判に晒されたことから、民主化を抑制しようとした逃亡犯条例は日の目を見ることが出来ませんでした。
これら一連の出来事には香港特別区行政長官の「林鄭月娥氏」が大きく関わり、その反動で、昨年12月に実施された香港区議選挙では民主化を訴える若い候補者達が、親中派のを圧倒し勝利を収めました。
中国政府は、これ以上香港に自由を与え続けることは共産党1党体制に、ひいては習近平国家主席の長期政権に大きな影響を及ぼすと判断して強攻策に打って出たのでは無いかと思います。
しかし、中国のこのような民主化を避ける体制がいつまでも続くとは思えません。
内政干渉と批判を受けるかも知れませんが、中国が大国を標榜するのであれば、国際公約を遵守し、国内においては基本的人権を尊重、他民族との共生、政権への批判をも受け止めるなど、世界に認められる行動が伴ってこそだと思います。
この法律を早く廃案にし、さらに、台湾に対しても強硬姿勢を取ること無く大人の対応をして欲しいものだと思います。