土地利用規制法案
- 2021年05月22日
土地利用規制法案が実質審議に入りました。
この法案は、自衛隊基地や原発、国境となる離島、JR付近の土地を「注視区域」、として指定し、周囲1kmの土地所有者の国籍などを調査出来ることや、そのための資料などを自治体に求める権限を認める他、司令部やミサイル迎撃拠点の周囲、領海の起点となる無人国境離島を「特別注視区域」に指定して面積200㎡以上の土地売買には、氏名、国籍、利用目的などの事前届け出を義務化し、従わない場合は罰則を科すことが出来るというものです。
ナゼ、こんな法案が出てきたのかというと、政府は、北海道千歳市や長崎県対馬市の自衛隊基地周辺の土地購入に対する自治体と住民の「不安」をあげていますが、衆議院内閣委員会での共産党赤嶺政賢議員の質問で、そんな事実が無いことが明らかになりました。
赤嶺議員は、全国1741自治体議会、47都道府県議会から関連の意見書提出は16件であり、肝心の千歳市と対馬市からの意見書は提出されていないことを指摘し、政府もこの事実を認め、木村内閣府審議官も千歳市議会でのやりとりの根拠を示すことが出来ませんでした。つまり、全く根拠のない、そして立法事実もない法案だということです。
法案を提出した小此木八郎領土問題担当相は、施設への具体的「妨害行為」の例示も出来ず、一方、自衛隊や米軍基地、原発で様々な問題が発生した場合の抗議行動について、座り込みや望遠鏡による監視は対象にはならないが、機材搬入を阻止する行為は対象になる可能性があるなど、妨害行為をどうにでも拡大解釈することが出来、恣意的に妨害行為と見なすことも想定されます。
例えば、辺野古基地反対の座り込みは容認するが、ゲート前の機材等搬入阻止の行為は妨害とみなし、反対派に罰則を科すことで運動の萎縮をねらうこともできます。
具体的な立法事実も無く、逆に周辺の経済活動を阻害する「百害あって一利無し」の法案に固執する意味が分かりません。
急施を要するわけでもなく、必要性も乏しい「土地利用規制法案」を提案する政府は、国民にわかりやすく説明する義務があると思いますし、このコロナ禍に乗じて乱暴に法案を可決することは有ってはならないことだと思います。