土砂警戒区域と対策
- 2018年08月08日
西日本豪雨から1ヶ月が過ぎました。
大雨により地盤が緩んだ急傾斜地からの土砂災害、予想を超える大量の雨に絶えきれずにダムから大量の水を放流した結果による下流地域の浸水、川の管理の不備による溢水などなど、原因究明は十分に行わなければなりません。
また、その原因を基に対策を行うことは必須であることも論を待ちません。
さて、北海道はその周り全てが海岸線となっています。
そして多くの場合、海の側に道路、そして民家が連なり、その裏側は急傾斜地という地勢になっています。
それだけではなく、内陸部でも平地と急傾斜地と川が連胆している箇所が多く見受けられます。
近年、局地的な大雨による土砂災害が発生し人的な被害も多く発生することから「土砂災害が発生する恐れのある区域を明らかにし、危険の周知、警戒避難態勢の整備、一定の開発の制限による住宅等の新規立地の抑制、危険区域内の住宅の移転推進する」ことを目的に、国は13年「土砂災害防止法」を施行しました。
これによって北海道も、約1万2,000箇所と言われる急傾斜崩壊危険区域に対し必要な調査を行って「土砂災害警戒区域」に指定することのなりましたが、いかんせん調査区域対象数が膨大であり、6月現在でも指定区域数約5,400箇所となっています。 そして、現在も道内各地で現地調査が行われています。
この危険区域は郊外だけではなく市街地にも点在し、宅地の後ろ等に傾斜角度30度以上、高さ5m以上の傾斜地があれば、この急傾斜危険区域となります。
局地的な大雨は場所を選びません。
道は、随時安全対策工事を実施してきていますが、全ての危険区域を対象として工事を行うには膨大な時間と費用が必要になります。
行政に対し、具体的な対策について見解を伺いましたが、斜面の所有者が行政(国有地・道有地・市町村有地)でなければ、斜面を所有している個人や企業が安全対策を講じなければならないということのようです。
しかし、数十年を経過した住宅開発業者が現に所在しない場合、この斜面はどうなるのか、また、所有者が居ない「不明地」の場合はどうなるのか、土砂崩れの際に影響が及ぶ家屋を所有している方々は、雨が降る度に身近な急傾斜地に不安を隠す事ができません。
また、宅地開発と売買に関する「宅地建物取引業法」と土砂災害を防止する「土砂災害防止法」とがお互いにリンクしていなかったことも大きな原因だと思います。
個人では対応が難しい急傾斜地の防災対策に対し、国を含めた行政の対応は避けて通れないものと思います。