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場当たりの職場接種

  • 2021年06月25日

 またしてもちぐはぐな姿をさらけ出しました。

 菅氏の鶴の一声で始まった「自衛隊による集団接種」や「職場接種」そして「大学接種」。 高齢者の2回目接種が未だに半分にも満たない現状にも関わらず、五輪前に接種率を引き上げたい菅氏が考えたのか、側近が入れ知恵したのかわかりませんが、優先順位を無視して始めたのがこれらの接種です。

 しかし「自衛隊による集団接種」があまりにも評判が悪く、65歳以上の高齢者の予約が全く埋まらなかったことから年齢制限を撤廃、さらに、保管しているモデルナ社製ワクチンの有効期限も関係したのか、次の手としてひねり出されたのが「職場接種」や「大学接種」という手法です。

 年齢などによる優先順位を無視して始めましたが、政府はどのくらいの接種数を見込んでいたのでしょうか。

 全く計画性も無く始めてしまったことからワクチンの供給が間に合わなくなり、集団接種も職場接種も大学接種も受付休止、河野担当相は、「急いで申請されたケースがあり、精査が必要」、「過大な申請がないかチェックが必要」と言い訳をして開始から2日目で、菅氏肝いりの接種拡大策はあえなく休止に追い込まれました。

 これまでの医療関係者や高齢者、基礎疾患を持つ人や介護職、ソーシャルワーカーなどという優先順位には国民の多くが納得しており、「順番が来るまで待とう」と冷静に考えていましたが、優先順位の枠は取り外されたなら、我先にとなるのは当然想定出来たことです。

 それも職場単位では、従業員だけでは無く家族なども含んで良いとの政府からのお墨付きがあったことから、大企業は、社員、家族、非正規職員、取引先の職員と対象範囲を拡大、中小企業や零細企業の方は各地の商工会議所や商工会、各種の経済団体が中心となって接種を取り組みましたし、学生規模の大きい大学は、学生だけでは無く大学関係者へとこれも対象範囲が拡大してしまいました。

 「鶴の一声」への忖度からか、申請を全て受理することを重視し、供給数より希望数が過大となる事への予見も有りませんでした。

 今回も、見栄を重視する菅氏に対して何も言えない内閣や官邸の姿と、政策の緻密な検討など官僚の本来の役割の劣化がここにも現れてしまいました。

 その結果、これまで何度となく経験してきたその場対応のコロナ対策に、またも国民が踊らされてしまったということです。


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