外国人労働者の強制送還
- 2018年08月26日
入国管理局が、入管難民法に触れる非正規滞在のベトナム人47名を今年の2月にチャーター便で強制送還しました。
その際、妻や夫、子どもを日本に残す事になり、12組の家族が離ればなれになってしまっていたことも判明。
非正規の違法滞在者は、バブル期の好景気の時期に建設業などの人材不足から入国、その後、母国から家族を呼び寄せたり、日本で家族をもうけたりしながら、長い期間日本が家族の生活の基盤となってきた方々です。
強制送還されたのは、就労ビザの期限が切れた後も滞在したり、呼び寄せた家族のパスポートが偽造だったりと、違法性が高い事案の方々なのかも知れませんが、これらの方々が日本国内で犯罪を犯したと言うことではありません。
母国に帰っても仕事が無かったり、難民だったことが分かれば母国で迫害に遭うおそれのある方など、それぞれが帰国できない理由を抱えた方々です。
米国のトランプ氏は、不法移民の強制送還を行うことを公約として大統領に就任、早速強制送還や移民親子を別々の施設に収容したりして家族分断を行い、米国国内だけではなく世界中からも非難されました。
日本も、世界から非難される事をひっそりとしていたのです。
日本は、基本的に難民受け入れをしていません。
2015年の難民認定率は、あの米国でも申請に対して約77%を認定していますが、日本では約0.5%となっており、16年には1万人以上が日本政府に難民申請をしましたが、政府が認定したのはわずか28人だけでした。
日本は、グローバル化を叫びながら未だに単一民族という文化の色が根強く、難民受け入れに対して多くの政治家や政府も非常に消極的です。
一方、労働力不足が深刻になり、研修という名の下に東南アジアから多くの労働力が日本に入っていますが、それも2年間、3年間、特殊な場合は5年間という期限が設けられています。
今や、一次産業や建設業、介護現場などでは外国人労働者無しでは立ちゆかなくなっています。
現実を直視するならば、外国人労働者の受け入れや難民対策について、日本は寛容になるべきではないでしょうか。
ましてや、今回のように家族を分断する強制送還などは人道的観点からも行うべきではありません。
この間、日本政府が行ってきたチャーター便による集団強制送還は、
・13年 7月:フィリピン 75名
・13年12月:タイ 46名
・14年12月:スリランカ、ベトナム 32名
・15年11月:バングラディシュ 22名
・16年 9月:スリランカ 30名
・17年 2月:タイ、ベトナム、アフガニスタン 43名
・18年 2月:ベトナム 47名
となっています。
各国からの批判の声を受けながら、これからも日本は都合の良い時には外国人労働者に頼り、一方で人権を無視した強制送還を行う政策を継続していくのでしょうか。