外国人労働者(ブログ3178)
- 2023年03月26日
死産した双子の遺体を段ボール箱に入れて自室の棚に放置したとして、死体遺棄罪に問われたベトナム人元実習生レー・ティ・トゥイ・リンさんの上告審判決が出され、最高裁第2法廷は24日、1審、2審の有罪判決を破棄して逆転無罪を言い渡しました。
その理由として、<死体遺棄罪の「遺棄」とは、習俗上の埋葬と認められない態様で、遺体を放棄、隠匿する行為に当たる。すなわち、死体遺棄罪は一般人が抱く死者敬慕の念や宗教的感情を害する形で遺体を放置したり隠したりした場合に成立されるが、元実習生の行為は遺体を隠匿し、他人による発見を困難にしたが、態様は習俗上の埋葬と相容れない行為とは認められず、遺棄に該当しない。したがって、有罪の1審、2審判決には重大な事実誤認があり、判決を破棄しなければ著しく正義に反する。>というものです。
この問題は、技能実習生として熊本県内の農家で働いていたリンさんが自宅の自室で双子の男児を死産、「妊娠を明かせば帰国させられる」と考えて、誰にも相談できず、33時間後に、実習関係者に連れて行かれた病院で死産を告白し、逮捕・起訴された事件です。
この事件は、当初から外国人実習生制度の不備が指摘されていました。
妊娠すれば帰国させられると自国の送り出し機関や日本の受入窓口である監理組合等から告げられ、多額の借金をして日本に来たにもかかわらず、実習が打ち切られれば自国の家族とともに死活問題になってくる事が、隠蔽の根幹にあります。
外国人技能実習制度は、劣悪な労働条件や低賃金、そしてピンハネなど多くの問題を内包していますが、政府は具体的な解決に本腰を入れてはいませんでした。
今、日本の労働力不足は少子化と相まって深刻な状況となっています。
とりわけ、一次産業や建設業、介護事業などは、日本の若者が就職せず、外国人技能実習生に依存しなければ成り立たないと言っても過言ではありません。
これまで政府は、実習期間を3年から5年に延長する見直しを行ってきましたが、その程度の見直ししかしてきませんでした。
しかし、日本の少子化は、子どもを産む世代の女性が減少していることも含めて、晩婚化、生涯独身など、ここ30年程の取組も功を奏せず解決の糸口が塞がったままとなっており、仮に少子化対策が画期的に効果が表れたとしても、子どもの数が増え始めるには長い時間がかかります。
そうなれば、実習生制度などではなく、移民政策を現実的に考えていかなければなりません。
永住権を与える事により、税金も支払い消費もしますし、子どもを産み育ててくれます。 厚労省は、40年度には介護人材が69万人必要になってくると推計していますし、介護以外にもITや研究開発職、教育職も含めてほぼ全ての職種で人材不足が表面化してきます。
とりわけ、25年には約800万人の団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、介護負担は増大するものの対策は「無」に等しい状況です。
高齢者施設には既に外国人の介護者が活躍しており、入居者の評判も決して悪くはありません。外国人労働者を永住権も含めて移住してもらい、同じ国に住む仲間として多様性を受け入れるようにしなければ、日本は没落してしまうでしょう。
しかし、その前に、日本の入国管理局の今の制度を改変しなければなりません。
スリランカの留学生ウィシュマ・サンダマリさんが、入管の非人道的な処遇によって死亡した事件は、記憶に新しいものではないでしょうか。