大丈夫かトリガー条項
- 2022年03月04日
国民民主党がガソリン高騰に対する対応策として「トリガー条項」を発動することを主張していましたが、岸田氏が「トリガー条項を含めてあらゆる選択肢を排除しない」と答弁したことから、「トリガー条項」が実現すると判断して衆議院において新年度予算に賛成しました。
今は、新年度予算が参議院に送付され審議されていますから断定的には言えませんが、多分、参院国民民主党も予算案に賛成することになるでしょう。
しかし、岸田氏は国会においてあらゆる選択肢を排除しないとは言っていますが、発動するとは言っていません。
「トリガー条項」については何度も説明してきましたから詳細を省きますが、高速道路の建設に関わる道路財源に充てる目的で1リットル25.1円の税を上乗せし30年間という期限付き(暫定期間)で徴収していました。
この暫定税率を民主党政権時代に廃止する事を公約とし、所得税法の一部改正によって租税特別措置法第89条に「トリガー条項」を取り入れ、ガソリン価格が160円台を3ヶ月以上続いた場合は自動的に「トリガー条項」を発令し、25.1円分の税を一時凍結、130円を下回る状況が3ヶ月以上続いた場合は復活することとしましたが、折しも東日本大震災が起こり、その復興財源として暫定税率を維持することになって、「トリガー条項」は凍結することになりました。
<ちなみに、ガソリンの課税には1リットルあたり「揮発油税」と「地方揮発油税」で28.7円、「暫定税率」が25.1円、「石油・石炭税」2.8円、「地球温暖化対策税」0.76円となっており、さらに消費税10%が上乗せされています。>
さて、問題の暫定税率に関わる「トリガー条項」ですが、東日本大震災に関わる復興財源として凍結期限は無期限とされています。すなわち、事実上発動できない構造となっており、凍結解除するには、法改正が必要となってきます。
したがって政府は、「トリガー条項」の発動という手法はとらずに元売り会社に対して補助金という形を取り、上限を暫定税率分の25円として対応しようとしています。
また、野党からの要求もあり、ガソリンだけでは無く一次産業で使用する重油やタクシーなどのLPガス、灯油購入なども支援する事としました。
しかし、元売り会社に補助金を補填するために、直接消費者にどれだけの恩恵があるかは未知数であり、一番わかりやすいのは消費者が購入する時にそれぞれの燃油代に含まれる暫定税率分が安くなるということです。
それが実現して始めて、国民民主党が公約する「トリガー条項」が発動されたと言うことであり、それ以外ではいくら言い繕っても国民は実感できず、公約は空手形となります。