始まった風評被害(ブログ3304)
- 2023年08月09日
ALPSで放射性核種の一部を残して除去された処理水が放出される事になり、中国が大きな反応を示しています。
すでに風評被害は現実のものとなって走り始めました。
北海道は、ホタテがその影響を受け始め、港に留め置かれる鮮魚や冷凍の水産物が鮮度を保てなくなることや、通関に20日から30日もかかることによって保管料が重くのしかかりはじめ、輸出そのものを断念する業者も出始めました。
さらに、日本からの水産物が入らなくなった中国の飲食関係は他国からの仕入れを模索し始めていますし、現実にその動きも活発になっています。
政府は、「IAEAの包括的報告書」を錦の御旗にして、中国に科学的な根拠を基にした協議を申し入れていますが、聞く耳を持ちません。
風評被害は、科学的な根拠で防ぐことが出来ないものです。
わが身を守るという人間の本能がその根底にあります。
つまり、口に入れたくない物は、口に入れたくないのです。
その風評と、10年以上も闘ってきたのが岩手県や宮城県、福島県などの水産関係者です。
IAEAの包括的報告書は、日本が海洋放出を結論づけてから後追いでIAEAに依頼し、それを追認して書かれたもので海洋放出以外の方法を示さない日本に対し、「核=原子力の安全は1国の責任であり、意思決定をした日本が責任を取る。」と明記しているように、この報告書をもって安全だとは一言も書かれていません。
中国や他国に対して説得力を持たない報告書を、錦の御旗にしている日本は「かなり甘い」と言わざるを得ません。
先ほども書きましたが、風評は科学では無く、心情から発するものなのです。
国内においても、放出が始まれば、3県以外の近県の水産物も少なからず影響が出ることになると思います。政府の思慮の無さが、長年風評と闘ってきた方々にとどめを刺すことにならないか心配です。