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姥捨て山政策(ブログ3649)

  • 2024年08月03日

 1月~6月までの上半期で、介護事業所の倒産件数が81件となった事が東京商工リサーチの調査で明らかになりました。

 前年同期の倒産が54件だったことから、今年はその1.5倍の数となってしまいました。倒産の事業所の内訳は、訪問介護の40件と約半数となり、次いでデイサービスなどの通所・ショートステイなどの短期入所介護事業者で25件、有料老人ホームが9件などとなり、規模別に見ると、従業員数20人未満が9割以上となるなど小規模事業者が倒産に追い込まれています。

 あのコロナ期の20年の上半期の倒産数は、過去最高の58件でしたから、今回はそれを大きく上回る数となりました。

 その多くの原因は、4月に実施された介護報酬の改定にあります。

 今年の介護報酬の改定は、賃上げなどを含めた全体で1.59%のプラスとし、そのうち0.98%を職員の賃上げに充てることにした一方、訪問介護の基本報酬は2~3%程度引き下げられてしまいました。

 厚労省は、訪問介護の利益率が他のサービスよりも高いとする調査結果を引き下げの根拠としてきましたが、それは、都市部の大手事業所や介護付き高齢者住宅などの施設併設型の事業所が利益率を引き上げているからです。何故かというと、施設併設型の訪問介護は、同じ施設内の高齢者にサービスを提供する事が主で、ヘルパーの移動などが必要いないことから、経費が抑えられるからです。

 一方、小規模介護事業所の訪問介護は、事業所から高齢者の自宅まで移動し、介護が終了すると次の訪問先まで移動することになり、効率が全く違います。

 また、小規模介護事業所は移動の時間を時給として換算せず、これまでも離職率が高い業界でしたから、ヘルパーも高齢の方に依存しなければなりません。2022年度の決算では訪問介護事業所の36.7%が赤字となっていました。

 そこに訪問介護報酬の減額が重くのしかかり、倒産数が増えたことになります。

 政府は、介護保険が財政を圧迫することから施設介護から在宅介護にシフトし、高齢者施設のベッド数を大幅に削減をしました。その結果、独居で在宅の要介護者には訪問介護が欠く事の出来ないサービスとなっています。

 このまま、訪問介護の事業所が少なくなってしまえば、介護難民が溢れることになります。そしてこの問題は、私も含めてこれから「行く道」なのです。

 高齢者が増加する事による長期的な政策も持たない日本は、「姥捨て山」の国となってしまうのでしょうか。


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