子どもへの懲戒権乱用
- 2019年03月01日
千葉県野田市での小学校4年生女児死亡事件は、児童相談所(児相)や学校の対応が招いた結果ではないかとと言われています。
大人に対して虐待をしたり、暴力をふるえば「傷害罪」となりますが、親が子どもに「しつけ」という名の暴力をふるっても、それを咎める法的な根拠が有りません。
さらに、民法には親権者が子を監護し教育を受けさせる義務を課している反面、子を懲戒する(こらしめる)権利を認めています。
これが「しつけ」という名に変容し虐待を招いていますが、児相も学校もこの懲戒権の乱用であることを証明できずに、結果として取り返しのつかない犯罪で幼い命が犠牲となっています。
私たちが子ども頃も、何か親の気に入らないことをしでかしてしまえば拳固が飛んできましたし、外に放り出されて夕食抜きだったことも思い出されます。
また、学校でも先生の言うことをきかない時は同じく拳固でしたし、学年が上がって高校生などになれば、教室にある箒(ほうき)の柄の部分で叩かれもしました。
これも「しつけ」であったのでしょうが、今のように陰湿では無く、その場で終わってしまうことが多かったように思います。
親になって感じることは、恐怖で言うことを聞かせるのではなく、言い聞かせて納得させる方が効果が有るということです。
無論、時には親の存在感として大きな声を出すことも必要ですが、すぐに子どもの良い所を褒めることも忘れないようにしなければなりません。
しかし、複雑になっている家庭環境やゆとりのない社会環境となっている現代は、こんな事を言ってもあまり意味をなさないのかもしれません。
国会では超党派の議員連盟などが民法の「懲戒権」規定を削除するように法相に申し入れました。
子どもは抵抗の出来ない弱い立場におかれています。
そして虐待を受けた子どもが大人になれば、自分が受けたことと同じように虐待を繰り返すようです。
「懲戒権」規定の削除も必要なのかも知れませんが、併行して、しつけに悩む親たちの心の深層に入り込む学びの場も必要ではないかと思います。