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子ども家庭庁

  • 2022年06月02日

 岸田氏は、その公約として「子ども家庭庁」なる行政庁を創設すると話していました。

 当初は「子ども省」で、各省が事務を行っている子どもに関する総ての行政を集約し、一括して子ども対策を行うというはずでしたが、 自民党の超保守派の方々から、「家族を抜きにしての子ども政策はあり得ない。」という古い家族観の声が大きくなり、一方、文科省を中心とした霞ヶ関の各省庁からは「役所の既得権が失われる」と新しい省を新設することにクレームが入り、その結果、「子ども省」⇒「子ども家族省」⇒「子ども家族庁」⇒家族と言う言葉への国民の抵抗を和らげ、「子ども家庭庁」となりました。

 つまり、妥協の産物と化してしまったわけで、その分、この行政庁で何を行うのかも曖昧模糊となってしまいました。

 さて、自民党の強い意向で「家庭」という言葉が入りましたが、PRESIDENT・Onlineにコラムニストの荒川和久氏の寄稿が掲載されていました。それを参考にしますと、「夫婦と子ども二人」からなる核家族のことをかつては「標準世帯」と言い、世帯の中心はこの「夫婦と子」世帯であり、その構成比は1970年代まで全世帯の45%以上を占めていましたが、2020年の国勢調査においては、25%まで減少しています。

 その代わりに、大幅に増えているのが一人暮らしの単身世帯(ソロ世帯)で、2020年には38%にまで増えています。今までは2040年には39%が単身世帯と推定されていましたが、予想以上に加速しており、もはや2040年を待たずして、来年にでも40%を越える可能性は高く、「夫婦と子」世帯もあと数年で20%を切ることもあり得ます。いわゆる「消えゆく家族」が現実として浮かび上がってくると想定されます。

 そしてその傾向は、都市部に限ることでは無く、東京や大都市圏から離れれば離れるほど家族の減少が著しく、特に九州、四国、近畿の太平洋側、東北、北海道が顕著となっており、最も減少したのは鹿児島県です。

 結婚しない生き方、子どもを持たない夫婦という生き方、夫婦共働きで住む場所が一緒ではない生き方等が普通のこととなり、自民党の言う「家族を抜きにした子ども政策はあり得ない」という家族感は、フリーズ(思考停止)した考え方となるかもしれません。

 近未来がそのように想定されるのであれば、より一層、少子化への対策は喫緊の課題となることから、新設される行政庁に期待されるものは大きく、政府の本気度が試される事になりますが、今年度の子ども政策への予算額は、目に見えないほど少額となっています。


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