安保条約第5条
- 2021年03月22日
米中の外交トップの会談が波乱の内に終了しました。
その前段に日中2+2が行われ、中国海警局の公船が領海侵犯を続ける尖閣諸島について、「尖閣諸島への日米安保条約第5条の適用を確認した。」と、さも尖閣へ中国が手を出した場合、米国がその阻止に力を貸してくれるような錯覚を国民に与え、大手のマスメディアも誤解を与えるような報道を行いました。
尖閣諸島についての米国のスタンスは、今回の2+2で変化したわけではありません。
これまで同様、日本の施政権については認めるものの、領有権については当該国で解決するべきとの方針は変わっていないのです。
従って、仮に尖閣で衝突が起きたら自衛隊がその対処に当たらなくてはならないことになります。
米国は、安保条約についても「日本」の防衛を義務だと述べたことは有りませんし、そのことからしても、在日米軍を日本国土防衛に充てる事はしない事は明らかです。
第5条は「(日米両国は)日本国の施政の下にある領域でのいずれか一方への武力攻撃が、自国の平和・安全を危うくすると認め、憲法上の規定、手続きに従って共通の危険に対処する。」というものです。
まず、尖閣が日本の施政下にあると言う事は認めるが、領域であるかは二国間で決めるもの(中国も領有を主張している)である。
次に、一方の武力攻撃が自国(米国)の平和・安全を危うくするかどうかは、慎重に判断しなければならない。
そして、米国の憲法上の規定、手続きには米国議会の承認が必要と言う事になります。
どうでしょう。
「米国船への攻撃が日本の利益・安全を損なうことから集団的自衛権を行使してでも守る。」とした日本の安倍氏と、「他国が日本に対して行う攻撃が米国にとって利益になるのか慎重に判断する。」とのスタンスの米国。
日本が後生大事にしている安保条約第5条にしても、これだけのスタンスの違いがあります。ここにも戦勝国と敗戦国の違いが現れています。
日本のマスメディアは、ことの本質を国民に知らせる努力をするべきでは無いでしょうか。