安倍氏の知性
- 2022年05月07日
安倍晋三という元総理大臣の発言は、異常を通り越しているとしか思えません。
6日のBSフジの「プライムタイム」に出演し、ロシアのプーチン氏が核兵器の使用について言及したことについて、北朝鮮が核実験を繰り返す中で、「アメリカが必ず核の報復をするという確証を相手が持たないと抑止力にならない。」と話し、「どのような手順でアメリカが日本のために報復するのか、手順を話し合い、検証していく必要がある。」と述べました。
安倍氏が意識しているのは、「北朝鮮が核実験を繰り返す目的は、日本を攻撃する事にある」ということなのかと思ってしまいました。
相当にズレています。8年間も1国の最高責任者にありながら、この程度の認識しか持ち合わせていないのでしょうか。
北朝鮮が危惧する真の相手国が日本では無く米国であることは、常識のど真ん中です。
仮に北朝鮮が核を使用すると想定した場合は米国が対象で、従って超長距離ミサイルの開発に最大限の技術を投入しています。
北朝鮮は、日本など米国の傀儡政権にすぎないと位置づけているでしょうし、ロシアも中国も同じように日本を評価しているでしょう。
世界は、米国VS中国・ロシアの新冷戦時代に入っており、この新冷戦構図の中に3国の影響力が及ぶ各国が連なっているのも常識の範疇で、極東アジアにおいては、中ロが北朝鮮に、米国が日本と韓国に大きな影響力を行使しています。
北朝鮮と米国は朝鮮戦争以前から敵対関係にあり、米国は北朝鮮を「悪の枢軸」と位置づけ、北朝鮮も自国の体制維持のためには米国の論理は受け入れられません。
従って、両国のバランスが崩れた場合には太平洋間を挟んでミサイルが飛び交うことになります。その時は、日本の米軍基地から北朝鮮へ爆撃機や攻撃機、空母や第7艦隊が出撃するでしょう。そして、日本は「安保法制」で位置づけた集団的自衛権を北朝鮮に行使する判断が求められますし、その判断によっては北朝鮮が日本を攻撃しても良いということと同じ意味を持つことになります。
日本は、日本海側を中心とした原発、そして米軍基地・自衛隊基地、指揮・統制機能を持つ首都圏が核を含めた攻撃を受けることになります。
したがって、「日本が核攻撃を受けたときに米国が核兵器で報復する具体的な手順を日米間で話し合う必要がある。」などと今更話すのはノー天気も甚だしく、この方が8年間も日本防衛の最高指揮官だったことに恐怖を覚えます。
言うまでも無く実力部隊である自衛隊と米軍は、あらゆる非常時のシュミレーションをしていないはずがありません。
それは、北朝鮮だけでは無く、台湾への中国の関与やロシアの環太平洋への進出など、およそ考えられる全てのケースを想定したものだと思います。
誰が日本の総理だろうと、それらの情報を最高指揮官が知らないはずがありません。
いや、米軍も自衛隊も、あえて知性を期待できない安倍氏には情報を与えていなかったのか。今は、1議員ですから、これらの事を教えてあげてはいかがでしょうか。