安平川のPFAS(ブログ3747)
- 2024年11月17日
北海道の企業会計である工業用水道(工水)事業は、主に苫小牧地区に工業用水を供給しています。
そして、この工水は、今建設中の半導体製造のラピダスにも日量2万4,000(トン)立方メートルを提供する予定です。
主な取水河川が「安平川」ですが、道は、ラピダスに工水を提供することを前提に安平川の水質検査を行いました。全国的にも着目されている河川水に含有されている有害物質の中にPFAS(有機フッ素化合物)が含まれているかどうか事前に検査するためです。
7月16日に数カ所から採取した河川水を分析した結果、政府の暫定目標基準の1リットル当たり50ナノグラムを上回る95ナノグラムのPFASが検出されました。
場所は、安平川に架かる「源武橋」付近です。
道は、その原因を調査しましたが原因を特定する事が出来ず、今後も定期的に水質調査を行うことにし、10月21日にも同じく「源武橋」において水質検査を行いました。
その結果、PFASの含有は1リットル当たり4.3ナノグラムとなって、かなり低い数値となりましたが、PFASが常に河川に流れ込んでいるという事実には変わりがありませんでした。
PFASは自然界には無い物質で、約1万種類もあること、そして発がんの原因となる事も明らかになっています。
PFASが検出されるということは、上流に何らかの原因があるということになります。
道議会での質問に対し、「道の調査ではPFASを使用している工場などは無く、原因を特定出来ない」ということでしたが、金曜日に発売された「財界さっぽろ」に、安平川でPFASが検出された「鈴蘭橋」と「源武橋」の間に「早来工営」という産業廃棄物処分場が有り、その処理について、これまで胆振総合振興局が文書で違法を指摘し、改善を求めていたことが掲載されていました。
同社が提出した「顛末書」には、産廃を処理する上で行わなければならない環境対策について、様々な違法行為が行われていた事も掲載されています。
つまり、道はすでに胆振総合振興局を通じて「早来工営」の案件を知っていたことになります。20万立方メートルが埋め立てられた産業廃棄物には、何が含まれているのか分かりませんが、PFASを含有していた物質が埋め立てられている疑いは払拭されません。
さらに、この「早来工営」は今も道が認めた「優良認定業者」となっているとのことですし、違法行為があっても第7期処分場の許可を道が認めています。
ラピダスに提供される工水には既にPFASが含まれています。そして、半導体の製造にはPFASが使用される事があります。
PFASは、ウェハー(回路の基板となる薄い円盤)上に回路パターンを転写するためのフォトレジスト(感光材)や製造装置内部の配管やバルブといった表面加工に使用されるものです。ただ、ラピダスはPFASを使用しないと断言していますが、河川からの水は海に流れ着くことから、地元の漁業関係者は非常に神経質になっています。
安平川からPFASが検出され続ければ、ラピダスが排水の完全浄化をしない限りPFASは川に排水され海にたどり着くことになります。
安平川のPFASの排出先は特定出来るのか、そして、ラピダスはPFASを使用しないだけでは無く、排水の完全浄化の義務を負うのか、産廃と半導体産業、水産業を所掌する道には、今後の対応をどのようにするのかも求められます。