定年延長と年金財政
- 2018年01月04日
働き方改革とは、必ずしも良い方向へ改革するとは限りません。
これまでも、政府の働き方改革の疑問点についてブログに掲載してきましたが、今回は、定年制についてです。
政府は、原則60歳までとなっている国家公務員・地方公務員の定年制を3年ごとに1歳ずつ引き上げて、2033年には65歳定年制とすることを盛り込んだ国家公務員法改正案を22日から始まる通常国会に提出するための検討に入りました。
現在、年金支給年齢が65歳からなので、これに併せるということと少子高齢化が進行する中で、高齢者の就業を促進し労働力を確保すると言うのが表向きの理由ですが、本当にそうなのでしょうか。
政府は5年に一度年金財政の試算を行っており、前回は14年に行われ、その試算に基づいて、16年に「年金制度改革関連法案」が提出され、「マクロ経済(物価)スライド」の見直しを行いました。
この時は、これまで、物価や賃金が上昇すると、連動してて年金支給額も上がる仕組みとなっていましたが、たとえ物価が上がったとしても一方で賃金が下がった場合、これまではすえ置かれていた年金額を、賃金の下落率と同様に引き下げる。
物価が下がっても、賃金の下げ幅の方が大きい場合、これまでは、物価の下げ率分だけ年金支給額が下がっていましたが、より下げ幅の大きい賃金の下落率に併せて減額をすることになり、これまでの制度と打って変わった、必ず年金支給額が下がる方式を取り入れました。
この14年の年金試算時には、導入されたこのマクロ経済(物価)スライド制廃止の他に、年金の被保険者(加入者)を大幅に増やし財源を確保する、すなわち、アルバイトやパートで月に5.8万円以上の賃金所得が有り、月20時間以上の短時間労働者を保健対象者とする。
さらに、年金の納付年齢を60歳から65歳に延長することと併せて支給年齢を68歳まで引き上げることも検討されました。
すなわち、「出を抑えて」、「入りを増やす」ということです。
このことは、16年11月13日のブログ1030で詳しく述べさせていただきましたが、今回の公務員定年年齢の65歳までの引き上げは、先程述べました年金支給年齢と定年を併せるとか、労働力を確保する等の表向きの理由だけではなく、年金財
破綻が根底にあるのではないかと思います。
少子化により、年金財政の将来が不安定であるだけではなく、年金基金の運用の半分を株へ投資し、既に16年時点で10兆円もの損失を計上してしまいましたが、その後もこの運用を継続しています。アベノミクスの失敗を覆い隠すために、株価を一定の水準に維持することが必要となり、年金基金を投入する。
そして、その尻ぬぐいを、年金の制度改革と称して国民に押しつける。
今年は19年、前回の14年から5年が経過し、また年金財政の試算が行われる年となりました。