寿都町で低周波地震(ブログ3306)
- 2023年08月11日
高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関わる文献調査を行っている過程で、寿都町周辺の地下約30km付近に「低周波地震」が確認されていることが分かりました。
低周波地震とは、一般的な地震と比較して、周波数の高い地震波の成分が弱いため低周波の地震が総体的に強い地震のことで、通常の地震より長周期成分が強いため、マグニチュードが大きくても、その割に震度が小さく、有感範囲が狭い場合が多いそうですが、海底で規模の大きな低周波地震が発生した場合、表面波マグニチュードが小さくても、巨大な津波が起こる可能性があるそうです。
ただ、地震のメカニズムは現状では解明できていないとのこと。
新聞報道によると、東京工業大学の中島教授は、気象庁の観測データーを調べたところ2000年以降少なくても60回発生をしていることを明らかにしました。
道教大の地震学・岡村名誉教授は、この度の低周波地震の発生は、寿都湾あたりで起きた海底火山噴火の中心付近であり、火山活動の名残で熱水が地下に存在しているのではないかとみています。
NUMOは、概要調査に入ったらもっと詳しく調査すると話していますが、報道では、地下30kmもの最深部へのボーリングは不可能で、寿都湾の火山活動での低周波地震であれば、火山の中心からおおむね15km以内は処分場不適地となると記していることから、この低周波地震の存在は、今後に大きく影響することでしょう。
すでにこの段階、すなわち文献調査の段階で寿都町は、候補地としていささかの問題を抱えることになってしまいました。
地層処分の適地選定にはあらゆる可能性を排除しない事になっていますが、低周波地震発生のメカニズムが解明できていない現状では、このメカニズムの解明を先行し、その後に検討に入らなければならないことになると思います。それまでには多くの年月が必要となるでしょう。寿都町での最終処分場の概要調査は、限りなく可能性が遠くなるのではないでしょうか。