寿都町長の乱心?
- 2020年08月14日
今、ナゼ手を挙げたのか。
寿都町の片岡春男町長が、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の文献調査に応募することを検討していることを発表しました。
文献調査への応募を検討する理由として、「調査を行う事により20億円とも言われる交付金が町に支給されるため、将来の町財政のため」とその理由を述べました。
寿都町の年間予算は2019年度で一般会計53億4,900万円、特別会計との合計は74億240万円で、地方債残高は2018年度で約64億9,800万円となっており、実質公債費比率も13.6%で類似団体64自治体中63位、早期健全化基準も25.0%となっていることから、財政的にはかなり厳しいと言わざるを得ない内容となっています。
しかし、自治体財政が厳しいのは他の自治体も同様で、綱渡りの自治体も多く、規模の小さな自治体ほど置かれている状況はきびしいですが、創意工夫を重ね、それぞれが行財政改革を実施し、国の支援を受けながらも様々な手法で財政運営を行っています。
ましてや、全国で唯一「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を持ち、宣言条例ではありますが、「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する。」と、道としての意思を明確に示した誇るべき条例があります。
今回の寿都町長の発言は、一寿都町の問題では無く全道に波及する問題である事を片岡町長は自覚するべきでは無いでしょうか。
この報道を受けて、鈴木知事も「道条例は、将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つものであり、私としては条例を遵守しなければならないと考える。」というコメントを発出しました。
また、立憲民主党道連も「北海道は都道府県で唯一、核のゴミを受け入れ難いとする『「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例』が制定されており、そもそも核のゴミの受け入れを認めないのが方針です。
また、核のゴミの最終処分場問題は、寿都町だけの問題では無く、地域の環境や農林水産業、観光など広範囲に影響が及ぶ道民・地域全体の問題です。同条例との整合性もとれず、道民はじめ、道や他自治体との協議もありません。
従って、文献調査への応募を検討することに反対します。」との声明を出しました。
そもそも高レベル放射性廃棄物は、使用済み核燃料を再処理した後に排出される放射性の極めて高い廃棄物でありますが、現在、使用済み核燃料から抽出されたプルトニウムを燃焼させる予定だった「もんじゅ」は廃炉となりましたし、それよりも使用済み核燃料再処理工場は未だに稼働の道筋さえ見えず、再処理を含めた核燃サイクル政策は暗礁に乗り上げています。
再処理が出来ないのであれば、そこから排出される予定の高レベル放射性廃棄物も架空のものと考えられないでしょうか。
今、国が困っているのは、各原発の敷地内にある使用済み核燃料プールが満杯に近づいていること、さらに青森県むつ市にある使用済み核燃料貯蔵施設に保管している全国の原発から排出された多くの使用済み核燃料の対処、加えて国内原発から排出され、イギリスとフランスに再処理を委託したプルトニウム約36トンと、国内で保有している約10トンの削減です。
破綻した核燃サイクル事業を捨てられないで、「あがく」様にアリバイだけを続けている国の政策に、自らの自治体の財政のためだけに、安定するまで10万年単位を要する放射性廃棄物を誘致するかのような文献調査に手を挙げるということは、自治体にとってアンタッチャブルな事では無いでしょうか。