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専決処分と議会

  • 2020年05月24日

 知事の専決処分(専決)と道議会の関係を考えたいと思います。

 知事は、政府が14日夕に15日以降の緊急事態宣言の方向性について発表する前日の13日に記者会見を行い、15日以降も休業に協力してくれた事業者に対し、独自支援の第2弾として「経営持続化臨時特別支援事業」を創設し、支援金を支給したいと発表。

 翌14日、政府が北海道を含む特定警戒都道府県の宣言延長と、それ以外の県の宣言解除の発表をした後に記者会見をし、前日13日に発表した道独自の支援金について、総額48億6,000万円の補正予算を組み、予算を専決処分とすると報告しました。

 15日以降も休業に協力していただく事業者の皆さんにさらなる支援を行うことは、私たちの会派も求めていたことですから予算化は問題ないのですが、知事が約48億円もの予算を議会に諮らずに専決処分にすると判断したことが、1議員として理解が出来ません。

 知事には予算の執行権がありますが、その予算額が妥当なものか、執行に対し問題は無いのかは議会がチェックをしなければなりません。

 逆に言うと知事は予算について議会のチェックを受けなければならないのです。

 これが、地方自治体の基本となる二元代表制です。

 知事は、今回の二次補正を議会に諮らず専決処分としました。

 地方議会は「住民自治の根幹」として、自治体経営に重要な権限を有しています。

したがって、首長による専決処分は地方自治法に記載されておりますが、極めて例外的なものに限られています。

<地方自治法第179条には、知事の専決処分に関する規定があり、①大規模災害などにより、議員が議会に参集できないとき ②議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕が無いことが明らかであると認めるとき ③議会において議決すべき事件を議決しないとき>  となっています。

 今回の2次補正における専決処分について、知事は、“1日も早く支援金を支給するため”という②の議会を招集する時間的余裕がないことを理由にしましたが、本当に時間的余裕がなかったのでしょうか。

 知事が1次補正を組み、休業要請に協力してくれた事業者に支援金を支給する事を決めたのは4月20日で、24日にはそのための臨時議会が招集されました。

 議会で補正予算を承認し、道は翌25日から5月6日まで休業に協力してくれることを要件に支援金の申請を30日から始めることにしました。

 しかし、その申請書には、「仮に休業期間が延長された場合は、その延長期間も休業することを要件とする。」という文字が小さく書き込まれていました。

 このとき既に知事は5月6日以降もコロナは沈静化せず、休業要請が延長されることを想定していました。

 想定通り4日に政府は6日までの宣言期間を31日まで延長し、14日には専門家会議の提言を踏まえ15日以降も宣言を解除するか延長するか判断することとしたことから、それを受けて知事は4日の記者会見で、休業要請を15日まで延長すると発表しました。

 一方、北海道は連休後も感染の第2波が襲いかかり、特に札幌市を中心とした石狩管内では医療機関や介護施設等でもクラスターが発生、とても15日に宣言が解除されるという状況にはないことは明らかな状況となってきました。

 4日以降、知事は新たな休業要請に関わる支援金について検討するよう担当部局に指示。

 このとき、議会は予定通り12日・13日に定例の委員会が招集されていました。

 知事が第2次補正を組み、議長に議会の招集をお願いすれば、14日(木)にでも臨時議会を開会することは可能ですし、急ぐのであれば13日(水)の午後からでも時間はありました。可能性を追求すれば、11日(月)にも開催ができます。

 すなわち、議会を開催する時間的余裕は十分すぎるほどあったにも関わらず臨時会を開催せず、14日に専決したことを発表しました。

 前述しましたが、地方自治法では知事の専決は極めて例外的な場合とし、議会開催に最大限の努力をすることを求めています。

 しかし、知事はその努力をせず安易に専決処分としました。

 知事サイドから専決処分について私に相談があったのは定例委員会開催日の12日夕方で、既に議会では各会派役員レベルで賛否両論となっていましたが、知事サイドは議会に対し理解を得る理由を見いだせずにいたようです。

 私は前述したように1議員として今回の専決処分に異議がありますが、今は副議長という任にあります。

 副議長の立場は、議会を円滑に運営することですから、13日の午後に副知事を通じて

 「明日14日、そして15日も開催できる時間がある。それでも専決に固執するならば少なくても議会全ての会派から理解を得ることが最低の条件になるのでは無いか。」と告げました。

 14日、函館に着いてから携帯に電話が入り、全ての会派から理解を得ましたので専決にしますとのこと。

 ちなみに我が会派は、翌日に<臨時会を開催する時間が十分担保出来るにもかかわらず、緊急性を理由に専決処分をすることは本来の専決の意義をはき違えるもので、繰り返される独断的な手法は議会軽視と言わざるを得ず極めて遺憾である。よって、本事案の専決処分を前例としない、専決処分の位置づけと要件を整理すること、二元代表制を十分に考察すること>という声明を出しました。

 さて、知事は、「一刻も早く支援金を支給したい。」と話していましたが、第1弾の支給は23日からで、時間的余裕がないとして専決にした第2弾の支援金申請は未だに行われておらず、5月中には受付を開始するよう努力すると話していますが、今日の感染者数を見れば(24日17時時点で15名発生)北海道が25日に解除されるかどうか。

 道は、第2弾の対象者は第1弾の倍の数になると見込んでおり、そうなれば支給開始は6月中旬になってしまいます。

 議会が嫌いなのか、議会はいかようにでもなると思っているのか、自分の好きなように行政を動かしたいのか、若い知事の地方自治に対する考え方は判りませんが、専横であってはならないことだけは確かです。


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