差し控える
- 2019年02月13日
昨日の予算委員会で安倍晋三氏は、北方領土問題に関し、<「日ロ平和条約交渉の対象は4島の帰属の問題であるとの一貫した立場だ。後退していることは全くない。」と答え、さらに、「色丹島と歯舞群島の2島だけで国境線を引くつもりはあるのか。」という質問には「交渉の中身に入ってくるので答弁は差し控える。」と述べるにとどめました。>と新聞報道されています。
そして、壊れたテープレコーダーのように政府の公式見解として、歯舞群島と色丹島の返還と国後島・択捉島の自由経済である「2島+α」を念頭に交渉を進めることを公言しています。
一方、プーチン大統領とラブロフ外相は「第二次世界大戦の結果として、北方領土の主権がロシアに有ることを認めることが交渉の基本だ。」と重ねて明らかにしています。
ロシアが主張するように、ロシアの主権を認めることが交渉の出発点だとすれば、それを日本は受け入れることができるのでしょうか。
受け入れた瞬間から、日本が主張する「固有の領土」は根底から崩壊し、全てがロシアの「善意」に委ねられることになり、ロシアの手の中での交渉となってしまいます。
そして、ロシアは「領土問題」は存在しないと主張し、日ロ平和条約の交渉では領土問題が対象になることは無くなるでしょう。
また、現在行われている「ビザ無し交流」による「出入域システム」も、当然の事のように「出入国」に関する協定に変わり、ビザやパスポートが必要となってきます。
1月22日の日ロ首脳会談では、「貿易額を1.5倍にする」とか「4島での経済交流」という話に収斂され、領土問題は何の進展もなく、今後は2月に行われる外相会議に委ねられますが、首脳会議で北方領土が議題にもならないのに、どのような外相会談となるのでしょう。
「交渉の中身に入ってくるので、答弁は差し控える」とは、「何も進展したものはなく国民に報告さえ出来ない。」と言うことと同義ではないでしょうか。