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廃プラの一括回収

  • 2022年01月11日

 政府が22年度から、家庭系の排出ごみの廃プラスチック(廃プラ)を一括回収する経費の一部を地方交付税で手当てすることにしたようです。

 先進国から排出された廃プラがアジア諸国等に輸出され、その弊害が社会問題となって久しく、また、世界各国から排出された廃プラが海洋汚染につながり、その量が海洋中の魚類の量より多くなりつつある事、さらに海洋動物が餌と勘違いして飲み込むことにより種によっては絶滅危惧種に追い込まれることが危惧されますし、世界各地の海岸に廃プラが押し寄せて海岸環境に大きな影響をもたらしています。

 こうした現状から、プラスチックごみの排出量が多い日本は、廃プラのリサイクルや減量を目的とした「プラスチック資源循環促進法」が4月から施行する事に併せて廃プラの一括回収に舵を切ったようです。

 さて、国内では多くの自治体が廃棄物の分別収集を行っています。

 廃棄物処理は自治体固有の業務である事から、それぞれの自治体で収集方法に違いがあっても、概ね台所などの生ゴミやティッシュを中心とした「可燃ごみ」、金属製や焼却に適さない「不燃ごみ」、プラスチック製の容器や包装資材の「プラスチックごみ」、その他にもリサイクルや個別処理が必要なガラス容器、アルミニウム製の缶、飲料水のペットボトル、廃乾電池、廃蛍光管などに分別されて回収されますし、包装資材の廃プラやきれいなペットボトル、一升瓶、新聞紙、雑誌や段ボールなどは資源ごみとしてリサイクルに廻ります。

 今回の見直しは、プラスチックであれば全て一括して回収することを目的としていますが、飲食物の残渣が残ったプラ容器やペットボトルと、プラ製包装資材や文具、おもちゃなどを一括回収することにより、廃プラのリサイクルに支障を来すことが懸念されます。

 どこの自治体も苦慮しているのが飲食系の廃プラで、食品が残ったり付着したプラ容器は洗浄しなければリサイクルに適しませんし、プラボトルも同様です。

 従って、飲食系の廃プラとその他の廃プラを一緒に回収し再利用するということは、回収後に二次的な処理、すなわち再度の分別と洗浄という工程を経なければなりません。

 だからこそ各自治体は、廃プラをリサイクルするために排出者(ごみを出す住民)責任で食品残渣を除き、洗浄をして排出するように協力を求めています。

 これまでのように、廃プラを焼却してそこから発生する熱エネルギーを回収・利用する「サーマル・リサイクル」を今後も行うのであれば、食品残渣など有ろうが無かろうが影響はありません。しかし、廃プラの焼却に伴って排出されるガスに猛毒のダイオキシンが含まれていることから、焼却工場ではダイオキシンを除去するバグフィルターを設置することが常識となっていますし、その設備が無い自治体は埋め立て処分が一般的となっています。

 今回の政府の取り組みは、住民の中に分別排出が浸透している今の社会に、廃プラであれば何でも一緒に排出しても良いことを奨励することになります。

 それとも、新しい廃プラのリサイクル技術が汎用タイプとして各自治体でシステム化が可能となったのか? 残念ながら、私はその情報を知りません。


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