思考停止
- 2016年05月03日
5月3日、今年ほど、護憲・改憲の論議が激しく交わされた憲法記念日は過去にも無かったかも知れません。
11月3日には憲法が公布されてから70周年を迎えますが、昨年の内閣法制局長官人事から始まり、集団的自衛権の閣議決定、憲法学者の9割が違憲と判断したにも関わらずに強行採決した、安保法制の改正。
参議院選後を見越した、安倍晋三の執念とも言える憲法改正への意欲。
そして、4月29日にテレビ出演し、憲法9条について「これからもずっと後回しにしていいのか。思考停止している政治家、政党の皆さんに真剣に考えてもらいたい」、「自衛隊は日本人の命や幸せな暮らしを守るために命を懸けてくれる組織だ。その皆さんに対し、憲法学者の7割が憲法違反だと言っている状況のままで良いのか」と語っていたそうです。
このフレーズは安倍晋三の得意のフレーズで、論理的ではなく情に訴える手法で、国民をたぶらかす詐欺師的な言葉遣いです。
例えば「これからもずっと後回しにしていいのか。思考停止している政治家、政党の皆さんに真剣に考えてもらいたい」と言っていますが、「憲法を後回しにする」とは、一体何を先にしているから問題なのかということを述べていません。
憲法改正を急ぎたいのは安倍晋三であって、多くの国民は9条の改正を望んでいませんし、このままで良いのですから、「後回し」とは意味が通じません。
また、「思考停止している」とは失礼な言い方で、憲法を改正しなければならないと言うことだけを主張し、他の意見を聴かない方が「思考停止状態」ではないだろうか。
また、「自衛隊は日本人の命や幸せな暮らしを守るために命を懸けてくれる組織だ。その皆さんに対し、憲法学者の7割が憲法違反だと言っている状況のままで良いのか」という決めつけ方をしていますが、「自衛隊は日本人の命や幸せな暮らしを守るために命を懸けてくれる組織」ということに異論はありません。災害における被災地での活動ぶりは頭が下がる思いです。そして、専守防衛のために日夜訓練を怠らず、自己を錬磨し強固な精神を培っている事は国民全てが理解していることですが、それを全く理解していないと決めつけ、7割の憲法学者が違憲だと言っているから憲法を改正して軍隊にするんだとは飛躍しすぎです。自衛隊の存在については、憲法違反としている憲法学者の中にもその存在を認めておられる方もいますし、これまでの専守防衛という「知恵」で問題が生じるとも思えません。
とにかく、9条でなくても何でもいいから憲法を改正し、岸信介を超えたいという安倍晋三の個人的な執念こそが「思考停止」ではないでしょうか。