意図的な公表
- 2018年05月24日
森友学園事件に関わり財務省から改竄前の文章や交渉記録約4,000ページ、さらに防衛省からはイラクPKO関連の日報に関する調査委員会の報告が相次いで提出されました。
以前にも記載させていただきましたが、公務員の習性として本書は廃棄してもそのコピーやデーターは個人の資料として残しておくものです。
ナゼかというと、将来、何かの折りに参考にしたり、また上司から「例の書類は有るか」と問われた時のためなどに対応するためです。
役所は基本的に前例踏襲主義ですから、将来同じような事案が発生した時、過去にどのように対処したかが問われます。まさしくそのために、事案が完了して必要が無くなった資料でも個人的に保存しておくということが当たり前の事のようになっているのです。
都合の悪い文章は「廃棄した」と答弁したいところでしょうが、探せば必ず職員の誰かが保管しています。
また、自衛隊も全てのPKOの現地状況や行動内容について記録していないと言うことはあり得ません。
ところで、今回提出された森友関連の文書は膨大なページ数になりますが、肝心なカ所が抜けています。
正に意図的としか言いようが有りません。
森友学園事件に関わり提出された交渉記録とは別に公表された「本省(財務省)相談メモ」ですが、<H26・4・28~H26・5・23本省相談メモ、法律相談結果等参照)>では、4月28日分のメモが抜け落ち、5月8日以降の4回分しか有りません。
4月28日は、昭恵夫人が籠池夫妻と予定地を見学し、「いい土地ですから、前に進めて下さい。」と話した日で、この時から交渉が籠池氏の思い通りに進んだ日です。
また、防衛省のイラク日報では、469日分の日報を公開しましたが、宿営地にロケット弾が着弾し、自衛隊員が戦争に巻き込まれると覚悟、武器の携帯を命じた緊迫の9日間の日報が全て抜け落ちていました。
正にこの期におよんでもですが、森友学園事件でもイラクPKO日報問題でも抜け落ちた文書や日報は、よほど政府にとって都合の悪い事が欠かれているのかもしれません。
さて、今回の森友・加計・自衛隊の事件で公文書管理ガイドラインの取り扱いが改正されてしまいました。
公文書の範囲を狭める事が狙いですが、今回の改定では、「保存期間1年未満の行政文書」にしてよい文書を限定することにしました。1年未満にしておくと管理簿にも載せなくて良くなり、廃棄も自分たちの判断で可能になります。
そして、このことによって、これからは私たち国民が情報公開を求めても、例え国会が文書提出を求めても、廃棄したということで片付けられてしまう可能性が高くなります。
職員が個人的に保管していても、それは公文書に当たらないことになり、より真実は闇に葬られることになるでしょう。
会議であれ、交渉であれ、相談であれ、上司に報告したり、メールなどで回覧されるというように、複数の職員が共有した場合の文書は全て行政文書として扱い、情報公開の対象とすべきです。
そのためにも行政文書の管理を行う独立した機関の設置が望まれます。