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懲役も罰金も

  • 2021年02月02日

 新型インフルエンザ感染症特別措置法改正案と感染症法改正案が、自民党と立憲民主党の修正協議を経て、衆議院可決そして今日参議院可決となり明日に成立することのなりました。

 与党提案だった前科の付く刑事罰ではなく、懲役も罰金も削除し行政罰として科料に改めることにしましたが、当然行うべき経済的支援については拘束力の無い付帯決議となり、不満を残す結果となりました。

 とりわけ、感染症法改正案で入院拒否や入院先からの逃亡をした感染者に「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科するという当初案に対し、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏は、「精神保健福祉法」との矛盾を指摘しました。

 <感染症法の「入院措置」もその規定の文言が精神保健福祉法の「措置入院」(自傷他害の恐れのある精神障害者を強制入院させる措置)と同じなので、感染症法の「入院措置」も有形力をもって強制的に入院されることができる措置のように思える。厚労相は本人の意思に関わりなく入院させることができる「即時強制」と説明している。

 しかし、そうだとすると、改正案が「入院措置が実施される者」が入院しなかった時に罰則を適用するというのはどういう意味なのか。本人の意思と関わりなく強制的に入院させることができるのなら、罰則をもって強制することと矛盾する。

 通常、罰則の付いた法改正を行う時には、所管官庁が、法改正案を法務省刑事局に持ち込み、「罰則審査」を受ける。罰則審査では、そのような罰則を設ける必要性と、罰則の構成要件の明確性、法定刑の相当性などが審査される。・・・中略・・・

 そもそも、感染対策の面から全く必要が無く、しかも法律の枠組み上も疑問がある罰則導入の法案を閣議決定し、国会に提出したこと自体に重大な問題がある。所管の厚労相が検討した上で提案したのでは無く、度重なるコロナ感染症対策の失策を挽回するために官邸主導で罰則を導入しようとしたのであろうか。そうだとすれば、感染対策を担う内閣としてあまりにお粗末だ。> と一刀両断にしました。

 既存の法体系に強制力のある「措置入院」というものがあり、感染症法改正案の「入院措置」も同じ強制力を持つと厚労省が認めているのならば、懲役とか罰金などはじめから必要なく、単なる国民への脅しだったということになります。

 政府の無策を、そこまでして国民の責任にしようとする事に怒りを覚えます。


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