戦略の無いワクチン接種
- 2021年06月01日
ワクチン接種も、実際に実施されていく段階で様々な課題が浮き彫りになりました。
それは、政府が当初示した優先接種が現実的に進んでいないこと。
そして、そのほかにも優先接種の必要な方々が出ていることです。
政府が考えたのは、①医療従事者②65歳以上の高齢者③基礎疾患のある方、及び介護従事者④16歳以上の方 の順番で接種を行うことでした。
先ず医療従事者への先行ワクチン接種が始まったのは2月17日からで、この時に政府は医療従事者への接種が終了した4月以降から高齢者への接種を行うと豪語していましたが、欧州からのワクチン提供が思うに任せなかったことから接種は遅々として進まず、そのうち4月がすぐそこに来てしまい、総理の発言があったことだからと、高齢者への接種を並行的に行うことになりました。
その結果、6月に入っても未だに医療従事者への2回目のワクチン接種は63%、高齢者に至っては6月1日現在で2回目の接種が1%に留まっています。
二兎を追った結果です。
そして、ここでも菅氏は7月中に高齢者の接種を終わらせると胸をたたいたことから、自衛隊の医官・看護官まで導入して大規模接種会場での接種が行われていますし、各自治体に対しては総務省の交付金を所管する部署から圧力をかける始末です。
それでも、7月中に終了しないと分かると1日100万人接種の大号令を発し、接種する医師不足に対して歯科医師、検査技師、救急隊員などを「打ち手」にしようとしていますし、接種拡大のためとして職域接種や大学など学校での接種を行おうとしていますし、さらに、一部の小規模自治体などは次の優先順位である基礎疾患を持った方や、16歳以上の方の接種も始まっています。すでに実質的には優先接種は言葉だけで、「何でも有り」へと走り始めました。
一方、当初の4分類だけでは無く優先的に接種を必要とする職種も現れました。
発熱患者を輸送する救急隊員や、軽症・中等症患者の入所する宿泊療養施設に派遣される自治体職員、それらの施設の清掃従事者などのエッセンシャル・ワーカーは、当然当初から優先接種に指定しなければならない方々でした。これらの方々への接種はどうする考えなのか。まさか、命を投げ出せとは言わないと思いますが・・・。
そしてここに横入り(?)も出てきました。
何が何でも五輪を開催する、という菅氏の政治的な目的のために、開催1ヶ月前の今になって五輪関係者を「お先に失礼」とばかりに横入りさせようとしています。
無論、選手には責任がありません。しかし、必要であれば接種が始まった2月の段階で優先接種に組み入れる事は出来たはずです。
早く接種が進むことはいいことです。そのために色々な手法が実施されることも必要でしょう。しかし、重症化になりやすいということから優先接種とされた高齢者は複雑な思いを持っているのではないでしょうか。
残念ながら全てが、菅氏とそのブレーンの先の読めないその場しのぎ命令で、国民が右往左往させられています。
ワクチンは最後の手段と言っているにも関わらず、何の戦略も無く行き当たりばったりだけが先行しています。