技能実習制度と入管法
- 2018年11月18日
12月10日終了予定の今臨時国会が10日間ほど延長される見込みのようです。
法務委員会に論戦の場を移した「入管法改正案」に対する要求資料の不備(改竄)が明らかになった事が原因で、資料の内容が政府の都合の良い方向へ印象操作するような意図が明らかになり、さらに、都合の悪い数値を低く書き換えるなど、以前の「働き方改革」と同じような手法をとってその場をしのごうとする意図が見え見えとなっています。
政府は学習能力が低下しているのでしょうか。
同じ事を繰り返すなど、官僚が「バカ」なのか、それとも国会議員や国民を小馬鹿にしているのか、担当大臣達もそれでうまく事が運ぶとでも思っていたのか。
いやいや、これも、来年4月に施行するという安倍晋三氏の意向を忖度した結果?。
良識のある(?)新聞などは、「拙速に結論を出すことは将来の禍根を残すことになる」と社説などに掲載しています。
一向に解決しない「技能実習制度」の問題点をそのままにして、単純に3年間の期限付きだった「技能実習制度」を5年に伸ばし、さらに5年間技能実習生としての経験が有れば「特定技能1号(5年間)」に移行できることにして、あわよくば技能実習生時と同様に劣悪な条件下で10年間も働かせるという目論みが透けて見えます。
経済界にとっては有り難いことでしょう。
さらに、特定技能1号を取得すれば派遣労働も可能という制度も導入するようです。
外国人労働者にはそこで働く日本人と同等の報酬を確保することとなっていますが、そもそも派遣労働者の多くは低賃金労働者であり、従って、外国人労働者を派遣労働へ移行させることによって、10年間「安い労働力の確保」が出来るという事になります。
そもそも、「技能実習制度」とはどのようなものだったのでしょうか。
厚労省のホームページでは
<外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ、国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。>
と書かれています。
現実は、日本人がやりたがらない仕事を低賃金で、しかも技能や技術を身につける「人づくり」ではなく、単純労務を長時間担ってもらう事が主目的となっており、その結果、年間約7,000人以上もの方々が失踪する事につながっています。
「特定技能1号」などと名を変えても問題の解決にはなりません。
国内法を策定する時、その法律に関係する方々から意見を徴収する事が行われますが、外国人労働者それも技能実習生からのヒアリングを行ったのは、野党だけでした。
その中でも「パワハラといじめにあい、自殺を図った」、「専門技術を学ぶはずが、原発事故の除染作業をさせられた」、「仕事が決まったその日にパスポートを取り上げられた」、残業手当300円で連続18時間も働かされた」等、生々しい声が寄せられました。
一度、技能実習生として来日した外国人が帰国したら、決して再び日本で働こうとは思わないでしょうし、日本は酷い国だと回りに話すでしょう。この先外国人が働き先として日本を選択することは難しくなると思います。