持ちつ持たれつ(ブログ3789)
- 2024年12月29日
新年度予算が閣議決定され、そのうち「防衛費」は過去最大の8.7兆円が計上されました。
さて、防衛費といえば「アンタッチャブル」という意識が、国民や国会議員の中にすり込まれているからでしょうか、今回、海自の潜水艦乗組員に長年物品供与が行われていたことが発覚するまで、40年以上が経過しています。
潜水艦建造は、特殊な技術が必要なこと、機密性が高い事から川崎重工(川重)と三菱重工の2社が独占的に行っています。
従って、潜水艦建造に他企業が参入することは無く、そこには競争の原理は働きません。
そうでありながら、川重は自社の利益を高めようと利益が出すぎて契約金額が下がらないように、原価をかさ増しする工作をしていました。下請け企業に水増しを求め、作業後に撤去されて証拠が残らない「養生材」等を大量発注した事にして契約金額が下がらないように細工をし、その金を使って裏金をプールしていました。
その裏金で、乗組員に家電やゲーム機、艦独自のTシャツの他にもブランドの靴や雨具、防寒着などの物品を供与していました。防衛省も、工事担当者(工担)が承認・発注した物品などは、内容の付け合わせさえしておらず、どのような物品でも無制約に調達出来たということです。
これらは、艦の組織ぐるみの「たかり」で、川重と工担はしっきりなしに打ち合わせ(夜の接待か?)していたそうです。
そしてこのような悪習は川重だけでは無く、当然のことながら三菱重工も行っていたと考えるべきで、今後の調査が待たれます。
架空取引の金額は2023年までの6年間で約17億円にのぼり、防衛省は川重から返済を求めています。
海自が所有する潜水艦は22隻、1隻当たり約70人が乗船し、24時間3交替で任務を遂行します。
潜水艦の乗務は、基本給の他に乗り組み手当として基本給の45.5%、その他に航海手当が1日500円~2.000円支払われます。
例えば、22歳・勤務歴4年の場合は、
基本給216,400円+乗り組み手当125,170円(基本給×0.455)+航海手当(2航海2週間として)7,000円=348,570円となります。
この手当類が高いか安いかは様々な議論があると思いますが、長期間、密閉された空間の中で、空を見ることも無く、プライバシーも最低限の中の乗船と言うことを前提に考えなければならないでしょう。
ただ、以前、同じ海自で潜水訓練手当を不正受給していた事実が判明、4人が停職処分に74人が訓戒などの懲罰を受けた事案がありましたが、その全容はまだ明らかになっておりません。
秘匿性の高い組織、そして、毎年上積みされる防衛費、そこに巣くう軍事企業、甘い蜜を吸い続ける乗員。果たして、海自は膿を出し切れるのでしょうか。