政府が自治体に指示権拡大(ブログ3415)
- 2023年12月05日
政府の諮問機関である「地方制度調査会(地制調)」が、大規模災害や感染症の拡大など非常時における行政体制について、政府の権限を大きくし、地方の権限を限定する答申案をまとめました。
これは、新形コロナウィルス感染症が発生した初期時にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内における集団感染時に、700人もの感染者を横浜市が受けきれなくなり、政府が「協力」という形で自治体間の入院調整を行いましたが、容易に進まなかったこと、新型インフルエンザ特別措置法による施設の使用制限や店舗の休業・時短要請なども全国各地で調整が難航したことなどから、非常事態における政府の指示権を強化し、自治体はそれに従わなければならないこととして、地制調が来年の通常国会に法改正を行うように求めました。
しかし、大規模災害の悪い例として、熊本地震の折に革靴で被災地に現地入りした復興大臣が現地の関係者に「おんぶ」されていた場面を思い出しますし、新形コロナウィルス感染症では、安倍氏が唐突に発表した「休校要請」や、「緊急事態宣言」で、自治体や国民は大混乱を起こしてしまいました。
それぞれの現地の状況を知らないままに病院のベッド確保などにも細かく口を出し、逆に事態を複雑にしてしまいました。
その教訓は、「現地のことは現場を把握している自治体を主体として対策を講じる事」でした。すなわち、政府は地元の自治体が行う対策に最大限の協力を行うと言うことに尽きるということです。
政府による自治体への関与は「必要最小限」で有るべきですし、それが地方自治法に明記されている自治体の自主性と自立制への配慮なのです。
今は政府と自治体は「上下・主従」の縦の関係では無く「対等・協力」の横の関係であり、政府が自治体に指示していた「機関委任事務」を廃止し、政府が本来行わなければならない「法定受託事務」と自治体が担う「自治事務」という区分を明らかにする分権改革が行われました。
かの事態が発生した場合は、基礎自治体と広域自治体が連携・協力して対処し、政府に求めることは地元から発出するべきではないでしょうか。
地方自治体に政府が指示権を発動する事が出来るということは、この間政府が進めてきた「小さく産んで大きく育てる」つまり、新法や法改正する時には問題を小さくして、法が可決したら頃合いを見て拡大解釈を進めていくということに繋がります。
今回の問題は地方自治にとって非常に大きな問題だと思います。
何とか地方の自治権を維持できるように考え直して欲しいと切に望みます。