数十年続く風評被害
- 2021年04月10日
やはり、菅氏は漁業者に寄り添うことはしませんでした。
7日に全漁連の岸会長と会談した後、「政府として早急に結論を出す」とぶら下がり会見で話しましたが、政府は海洋放出はすでに既定路線として他の方策を検討することは無く、漁師の皆さんにとっては生殺与奪となるであろう汚染水の処理方法を、一番避けなければならない方法で決めてしまうことになります。
この政権には「深謀遠慮」という言葉は無く、いつも目の前の事に汲々として「短慮軽率」に至っています。
道新では、<トリチウム以外は除去出来ると説明していたにも関わらず、浄化後の水の8割にトリチウム以外のヨウ素129等の放射性物質が残留していることが、ALPS稼働から約5年たった2018年に判明した経緯もある。>と掲載しています。
日刊ゲンダイでは、<政府は汚染水の海洋放出について、「人体への影響はほとんど無い」、「放出するのは国の基準を下回った水だ」などと、「安全」を喧伝しているが、大嘘だ。トリチウムが危険な放射性物質なのは間違いない。
実際、1974年に開催された日本放射線影響学会では「トリチウムは極めて低い濃度でも染色体に異常を起こす」と発表されている。
原発推進派の日本原子力研究開発機構が作成したネット上の原子力百科事典「ATOMICA」さえ、トリチウムの危険性を指摘している。原子力大国の米国も、トリチウムの危険性をしっかり認識している。飲料水1㍑に含まれるトリチウム濃度の基準について、WHO(世界保健機構)は1万ベクレル以下としているが、米国は740ベクレル以下で、世界基準といえるWHOの13倍も厳しく規制している。>とトリチウムの危険性について掲載しています。さらに、<もし健康上に問題が生じないと信じているなら、ぜひ、“処理水”を毎日がぶ飲みしてもらいたいものだ。>と厳しく指摘しています。
中国、韓国、台湾など各国の反応も批判的で、この間、日本の水産物に対し輸入規制を行っていましたが、更に厳しく対処すること示唆しています。
全漁連の恐れていることが現実となり、10年前と同じ事が起ころうとしています。
さらに状況が悪いのは、国内もコロナ禍で外出が自粛状態にあり、それでなくても水産物の消費が落ち込んでいる所へ海洋放出となれば、国内でも風評が起こり太平洋沿岸の漁業に壊滅的なダメージを及ぼすことは容易に想像が出来ます。二重苦となります。
そして、この放流は、フクシマ原発の廃炉が終了するまで数十年間も続くでしょう。
日本の水産の未来を抹殺する暴挙だと言っても過言ではありません。
全漁連は、風評被害対策費なる補償金で受け入れるのでしょうか。それとも、水産業にまったく興味の無い菅氏に鉄槌を与えるのか。
まさに生活を賭けた闘いとなるでしょう。そして消費者である私たちも安全で美味しい海の幸を守るために立ち上がらなければなりません。
事は重大です。