文献調査の報告(ブログ3398)
- 2023年11月18日
2年間で終了するはずの文献調査は、報告書のまとめに時間がかかり、さらに1年間が過ぎ去ろうとしています。
国内では、寿都町や神恵内村以外に手を挙げる自治体はなく、対馬市も議会が文献調査について市長に迫りましたが、市長は調査の受入を拒否する判断をしましたし、その他の自治体も手を挙げる気配はありません。
鈴木知事は、道議会の答弁で、「『放射性廃棄物は受け入れ難い』という条例があり、現時点では、概要調査を受け入れない」と話していますが、現時点ではという注釈付です。
一方、道議会は以前にもブログに記載しましたが、産炭地域振興・エネルギー対策特別委員会において自民党の委員が、「条例制定時と今では状況が変化したことから、条例を見直すべきではないか。」という質問をし始めています。
知事の言う「現時点では」という意味について考え方を問うても、鈴木知事は曖昧模糊とした答弁を繰り返すのみ。
また、自民党が委員会で発言をしていますが、どのような状況の変化があるのかについても明快に話すことはありません。従って、知事が受入の判断をしやすいように条件を整えようとしている可能性が高いのでは、と受け止めるしか有りません。
さて、世界では核廃棄物の処分についてどのように取り組んでいるのでしょうか。
NUMOの資料によると、
▼未だ調査段階前:スペイン、ベルギー
▼文献調査:日本、ドイツ
▼概要調査(ボーリング調査):イギリス、スイス、カナダ
▼精密調査(地下施設での調査):ロシア、中国
▼処分地選定済み:フィンランド(建設開始済み)、スウェーデン(安全審査中)、
フランス(申請中)、アメリカ(審査中断中)
となっています。
共産圏では、政府の意向通りに処分地を決定して進めていますが、それ以外ではかなり慎重になっています。
広範囲に及ぶ強固な地下岩盤を有する北欧が、一歩前に進んでいますが、それ以外の国では地域選定に対する住民の反対が強く、かなりの時間を要しています。
アメリカでは、1982年に核廃棄物政策法が策定され、最終処分の責任は連邦政府にあるとして最終処分場の選定に取りかかり、ネバダ州ユッカマウンテンをその候補地としましたが、地元住民の反対で頓挫、その後、最終処分場は宙に浮いたままで、全米33州の運転停止済みを含む75基の原発に約9万トンの使用済み核燃料が溜め置かれ、毎年増え続けています。原発の立地地域では「原発が廃炉になっても核燃料は残ったままで安心できない。」、「保管に100年かかるにしても、海面上昇などの異常気象があればその影響を受ける。永久に続く建築物など無い。」と不安がまったく消えておりません。
さて、寿都町や神恵内村、そして鈴木知事は、文献調査の報告を受け、次の概要調査に対し、いったいどのような判断をするのでしょうか。