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斡旋を拒否した参院議長

  • 2018年07月20日

 参議院議員の6増法案が可決しました。

 参議院はこの間の選挙において3倍以上となっている1票の格差について、前回選挙でも最高裁判所から「合憲」という判決に付帯して、次回選挙までに抜本的な改正を求められていましたが、与党である自民党は、この間、宿題を棚上げにしてきました。

 いよいよ、来年7月に参議院選挙が行われる時期となり、あわてて提出してきたのが、埼玉県の定数を増することによってかろうじて1票の格差を3倍以下にするという小手先の改正を行う内容のものです。

 さらにここからが問題です。前回の参議院選挙で合区となった「鳥取県・島根県」、「徳島県・高知県」は、それぞれの県で定数1名のところ合区となったことで、2県で1名となってしまい、それまで自民党が議席を独占していたことから2名が議席を失いました。

 来年の参議院選挙は、前回の反対番の方の選挙です。

 このままでは現在4県で4名いる反対番の自民党議員が、前回同様2議席失うことになります。

 そのことから、合区という選挙制度は認めつつ、2議席分の現職議員が議席を失わないように、拘束名簿方式によって最初から当選が確保されるような制度としてしまいました。

 これが今度の公職選挙法改正の中身です。

 6名増ですが、来年の選挙では埼玉選挙区で1名増、拘束名簿方式で2名増、これが3年ごとの2回の選挙で参議院の定数となることから、×2で6名増ということになります。

 当初全国を11ブロックの選挙区にするという対案を出した公明党は、あっさりと自民党案に相乗りしてしまいました。

 与党は「野党にとっても美味しい話」ということを話していましたが、これは埼玉選挙区の定数が3名から4名(1名増)となることで野党も議席が望める状態となったということを指しているのでしょうけれど、選挙はやってみなければ分かりません。

 定数が増えたからといって必ずしも野党が有利とは限らず、自民党が2名、公明党が1名立候補すれば、結果として与党議席1名増の3議席という場合もあります。

 無論その逆も有りますが、故にどちらが有利とは限りません。

 それにしても北海道選挙区の参議院議長は、この問題に対し議長としての責務を果たしたのでしょうか。

 衆議院・参議院の議長・副議長は就任した時から党籍を離れ、公正・中立の立場で国会を運営することになります。

 従って、問題によって与野党が一歩も引かない場合、議長が与野党双方の国対委員長に斡旋案を提示して解決を図るという事が求められますが、この度の6名増に関わる公職選挙法改正案について、参議院議長は斡旋案のとりまとめを拒否してしまい、その結果、自民党に利する改正案が成立してしまいました。

 改めて、参議院議長は公正・中立という立場であるということを噛みしめていただきたいと思います。


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