新しい検事総長(ブログ3629)
- 2024年07月14日
少し前の話になりますが、9日に新しい検事総長として畝本直美氏が就任しました。
戦後初めての女性検事総長ということで、時宜としてはNHKの朝ドラの主人公「猪爪寅子」のモデルとなった日本で初めての女性弁護士・判事・家庭裁判所長となった三淵嘉子氏と重なり合うものが有りますし、検察庁もそのことを意識したのかも知れません。
畝本新検事総長には、国民が「何か変だぞ」と思わせることの無い、政治に対する忖度も無く、まさしくご本人が就任会見で話していたように「不偏不党のスタンスを大事にしたい」ということを貫いていただきたいと思います「が」、です。
ナゼ「が」なのかというと、畝本氏が前職である検察NO2の東京高検検事長だった時に自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を指揮していたからです。
結局、この裏金事件は、自民党の安倍派を中心に100名近くの国会議員がキックバック(裏金)を手にしていながら、起訴されたのは過去3年間で2,000万円以上という検察の勝手な線引きの結果、3,208万円の池田佳隆衆議、3,146万円の大野泰正参議、そして2,303万円の谷川弥一郎衆議が立件されて起訴、そして秘書や会計責任者が在宅起訴3名、略式起訴3名ということで終わってしまいました。キックバック4位の萩生田光一衆議は1,952万円(5年間では2,728万円)でお咎め無し。
東京地検特捜部は、まさしく全国の検察から50名近くの応援を仰ぎながら、ほとんどの議員を不起訴処分とし、その指揮を執っていたのが畝本氏なのです。
この処分に国民は果たして納得しているのでしょうか。
折しも7月8日には、既に起訴されている以外の国会議員を不起訴処分とする発表が東京地検特捜部からありました。検事総長に就任する前日に東京高検検事長として不起訴を承認した畝本氏、これが東京高検検事長としての最後の仕事です。
ここに畝本氏の本質を見る思いです。
女性として初めての「検事総長」就任。畝本氏の心の大部分は、その事で満たされていたのでしょう。彼女が、今後も忖度しないと誰が言えるでしょうか。
今回の不起訴発表について、告発した神戸大学・上脇博之教授らは処分を不服として検察審査会に申し立てる方針です。
当然、検察審査会は「起訴相当」という結論を出すでしょう。
東京地検に差し戻された今回の裏金事件を、畝本氏は検察機構最高責任者としてどのように対処するのでしょう。果たして「不偏不党」の理念は守られるのでしょうか。