新型コロナの予算は?
- 2020年03月05日
一昨日の記者会見で鈴木知事は、「今回の予算は新型コロナウィルス対策の予算も含まれているので、道議会にも早期成立の配慮をお願いしたい。」と話され、それを聞いていた私は、少し違和感を覚えました。
「予算執行が遅れれば、それは道議会のせいだ。」とでも言いたいのでしょうか。
道議会は、今般の事態に鑑み、年度内の25日に予算を成立するように努力し、さらに、知事が新型コロナウィルスへの対応に十分時間を費やすことが出来るように一般質問を全て取り消し、代表質問と予算委員会へ集約する事とし、予算委員会も3つの分科会審議を2つの分科会審議に圧縮して対応するように議会運営委員会で決定しました。
にも関わらず、あえて昨日は、道議会議長に対して早期の予算成立への配慮を要請しています。
議会は、知事の下部機関ではなく、法に位置づけられた人格を持った審議機関です。
議会の招集権は知事にありますが、議会運営は議会独自で決定する権限を有し、知事が提案した予算について審議を尽くす場です。
さらに、知事と議会は二元代表制で有ることを、改めて知事は認識する必要があると思います。議会まで知事の思い通りになるというわけではありません。
さて、知事が記者会見で話していたように、新年度予算に新型コロナウィルスの予算が盛り込まれているかと言えば、そのような項目は皆無であります。
新年度予算一覧表で読み取れるのは、保健福祉部関連予算中にある地域保健費・感染症対策費として約3億1,918万円が計上されているというものです。
予算担当者に聞きますと、「例年予算化している一般的な『感染症対策費』を計上しており、その中で新型感染症病床などの対策に支出できる。」と答えています。
つまり、新年度予算には新たに新型コロナウィルス対策として知事が項目立てている訳ではありません。
昨年6月に作成した予算執行状況表(決算)を見ますと、平成30年度の当該予算は約3億3,400万円で、支出済み額が約3億500万円、支出残高が約2,880万円となっています。
鈴木知事が査定し計上した新年度の感染症対策費は約3億1,900万円で、比較すると約1,500万円の減額となっています。
平年ベースで約3億500万円~3億1000万円が固定費だとすれば、新年度も同額の固定費がかかるわけで、従って新型コロナウィルス対策に使用できるのは約1400万円~900万円ということになります。
つまり、予算が早期に成立しても執行できるのは4月の新年度以降になり、更にその中でも新型コロナウィルス感染症の対策として使用できる予算は、至極わずかであるということです。
知事は、様々な対策をアドバルーンのように打ち上げ、その評価に鼻高々になっているようですが、全ての責任は自分にあると豪語するならば、国の対策に上乗せするだけの単独の補正予算を組み、一番疲弊している道内の経済対策や雇用対策などに上積みするような姿を見せて欲しいものだと思います。