新幹線札幌延伸と今後の対応
- 2011年12月22日
北海道新幹線札幌延伸に関わる並行在来線沿線自治体の同意を最後まで慎重に検討されていた工藤市長が、昨日、苦渋の選択をされた。
置かれている状況の中での判断は、致し方なかったものであることも十分に理解ができる。
一方、今回の道の対応は、巷間言われるように後手後手もいいところであったと認識している。
昨年知事に提出した11万筆におよぶ署名の重さを考えれば、地元が理解を示すことのできる条件を早急にJR北海道と詰めていなければならなかったにも関わらず、道はJR石勝線の事故や前社長の逝去を理由にして条件を引き出すギリギリした交渉を怠り、JR北海道は地元の思いを逆なでする態度を変えようとはしなかった。
それが、民主党によって札幌延伸が現実味を帯びたとたん、道もJR北海道もバタバタと条件を緩和させてきたことをみても、それまで、真面目に考えてこなかったことと背中合わせであり、市民の不信をさらに増長させる結果となったのではないか。
さて、この度の結果を受けて、今後の並行在来線協議はさらに難航をすることになるような気がする。懸念される課題の幾つかを述べてみたい。
一つ目は、並行在来線の負担割合である。
この間の経過で、木古内駅~五稜郭駅までの間の並行在来線については鉄路を残し、第三セクターでの運営に関する負担割合について道は当初、道と地元は1:1の負担と言ってきたが地元の強い反発に遭い、今は8:2とも8.5:1.5とも言われている。
とすれば、新函館駅~現函館駅間の負担割合は、この数字が最低ベース、スタートラインとなることは当然であり、協議の結果、道が負担割合に対しどのように主体的な役割を果たすのかが問われることになる。
二つ目は、新函館駅~現函館駅間の第三セクターはJR北海道が受託すると言うが、それでは木古内駅~五稜郭駅間の第三セクター、この先の函館駅~長万部駅間の並行在来線に関わる第三セクターはどこの事業体が主体となるのだろうか。
地元沿線の希望や既存の鉄路を活用することを考えると、新函館駅~現函館駅間と同様にJR北海道が受託すべきという声が挙がってくるだろうことは容易に予想される。
新函館駅間と現函館駅間だけJR北海道が受託し、その他は関知しないということで沿線自治体は納得しないだろう。
協議会の席上、道はどのような案を提示し理解を得ようとしているのだろうか。
三つ目は、新幹線函館開業から札幌延伸までの間、既存の函館~札幌間の特急(スーパー)北斗への接続はどのようになるのだろうか。
JR北海道は、新函館駅開業時において、新函館駅~現函館駅間の電化を行い新幹線が到着したら函館駅までアクセスすると約束している。
私は、新幹線が到着したら、新駅が高架の場合は階下のホームに札幌行きと函館行きの特急北斗が待ち受け、高架でない場合は並行するホームに同じく上り線、下り線の特急北斗が待ち受けている、いわゆる九州新幹線の新松代駅方式が採用されるものと思っていたが、そうでは無いようだ。
と言うことは、新幹線で新函館駅に到着した方々で札幌まで行かれる方は、一度現函館駅まで来なければならないことになり、逆に札幌から函館にきて新幹線を利用される場合も、一度現函館駅に来てから新函館駅に向かわなければならないということになる。不便極まりない。
新幹線のダイヤと特急北斗のダイヤが違うことは理解しても、せめて、特急北斗には接続すべきではないのか。
既存の渡島大野駅を通過する鉄路を新函館駅に乗り入れることができれば問題は解決である。
ほんの少しの移動である。そして、札幌延伸までは20年乃至25年先であり、その間の利便性には配慮すべきと思うが、道の見解やいかに。
今後の協議会の推移を注視する共に、道議会の場でも知事の見解を質したいと思う。