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日ロと米ロ

  • 2016年11月20日

 「12月に山口県でプーチン大統領と会談をして北方領土について一定の譲歩を引き出し、衆議院を解散して更なる安定多数を維持する。」これが先月までに安倍晋三の描いたシナリオでしたが、今月8日の米国次期大統領選挙でおおかたの予想を覆し、トランプ氏が当選した頃から少しずつシナリオが狂い始めたと思います。

 次期大統領のトランプ氏は「新ロシア」の傾向が強く、プーチン大統領は長年の宿敵であった米国との接近を目論んでいます。

 クリミア半島の一方的編入依頼、西側諸国から経済制裁を受けていた打開策として日本をターゲットにして、日ロ平和条約いわゆる領土問題を餌に経済協力を引き出し、併せて日米の間にくさびを打ち込み、ロシアへの経済制裁を日本から瓦解させるというのがプーチンのしたたかな考えだっただろうと思いますが、トランプ氏の出現で日本との日ロ平和条約に重きを置く必要も無くなりました。

 しかし、日本との経済協力はロシアにとって「オイシイ料理」であり、これだけはいただきたいと日ロ首脳会談前に経済協力を先行させ、交渉を加速してきております。

 対日交渉の窓口だったウリュカエフ経済発展相が、収賄の容疑で身柄を拘束されてから、間髪入れず後任人事に着手し、APECにおいても、経済協力の具体的推進が話し合われることになるでしょう。

 トランプ氏は、就任後すぐにロシアを訪れたいと希望しているとのこと。

 米ロ首脳会談が就任直後に行われ、クリミア問題に関する経済制裁が解除される可能性が高まれば、日ロ平和条約などは領土問題の含まない経済協定に格下げされてしまうのでは無いでしょうか、そうなったとすれば、1兆円とも2兆円とも言われている経済協力のみを食い逃げされる可能性が強くなります。

 経済界もこの経済協力に少し及び腰なのは、これまでロシアの法の枠組みの中で行われ日本企業が損失を被ってきたこれまでの教訓と、トランプ氏・プーチン大統領の今後の外交によって、安倍晋三が蚊帳の外に置かれるのではないかという不安が表れているからではないかと推測してしまいます。


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