日印原子力協定
- 2016年11月15日
安倍晋三が、核拡散防止条約(NTP)未加盟で、核保有国である国インドと原子力協定を結び、原発を輸出しようとしています。
ベトナムとの原発輸出が頓挫し、かなり焦っていたのかも知れませんが、いつものように妥協を重ねてたどり着いた結果が、最低の原則をも死守できない協定となりました。
今回の協定では、インドが核実験をした場合、協力を停止することを協定文に盛り込もうとしましたが、インドからの強い抵抗があり、本協定ではなく、「見解及び了解に関する文書」という訳の分からない別文書での確認事項となってしまいました。
中身は「両国の見解の正確な反映である事が了解される」と、これも意味不明の言葉の羅列、内容は「核爆発はだめだけど、臨界前実験は仕方がない。核弾頭を運搬する技術についてもフリーハンド」という曖昧なもので、インドの外務次官は、「日本と特別な協定を結ぶわけではない」と発言しているとのこと。
インドは、NPTに未加盟の他の核保有国同様、核開発は「自国の権利」と主張していますから、別文書で「核実験をしたら協力しない」と確認しても、このような玉虫色の協定は何の歯止めにも成らないのは明らかです。
フクシマの原発事故の原因も解らず、収束もしていない中での原発輸出、ましてや、核保有国であるインドは、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して核兵器の原料とする可能性も想定されます。
隣国のパキスタンとの緊張関係が高まれば、核兵器使用の歯止めは保障の範囲ではありませんし、もし、そんなことがあれば核兵器の原料を提供したとして、パキスタンとの外交上の問題にも発展しかねません。
唯一の被爆国、フクシマ原発の事故国であり、放射能汚染により国民が言葉に表せない程の犠牲を強いられた国でありながら、経済のみに視点を置き、反対するインド国民を横目で見ながら、事故があっても責任が持てない(日本国内の事故においても責任を取っていない)日本が、無責任にも原発を輸出する。
そして、事故が起きた日本の現状を知りながら協定を結ぶインド。
水面下でどのような裏取引があったのか、そうでなければ事故後の対策も確立していない日本と原子力協定を結ぶ意味は無いのではと思いますが、唯一の意義が有るとすれば、それは、米仏を含め原発建設作業には原子力炉容器が必要であり、その技術では日本が優れているからです。
そして、この製造で世界NO1のシェアーを誇るのは「日本製鋼所・室蘭製作所」なのです。原発の中心を担う炉が、北海道内で制作されインドに輸出される事を、私たちは他人事ではなく、身近な問題として捉えなければなりません。