日本がNATO?
- 2022年04月29日
米国のブリンケン国務長官が6月下旬にスペイン・マドリードで開催が予定されているNATO首脳会談に岸田首相が出席すると発表しました。
松野官房長官は会見で「日本の出席について何んら決まっていない。」と火消しの言葉を発しましたが、米国の国務長官が発表したことですから、米国が出席を強く求め、日本は前向きに検討すると返したのでしょう。
ご存じの通り、NATO(北大西洋条約機構)は北米と欧州を中心とした30ヶ国による集団的自衛権行使を目的とする多国間軍事同盟です。
そして、今回のロシアのウクライナ侵略は、ウクライナがNATOの加盟を希望したことにロシアのプーチン大統領が激怒したことに端を発した戦争です。
更にこの侵略によってフィンランドとノルウェイが新にNATOに加盟する意向を示しました。
つまり、この戦争はNATOの拡大とそれを阻止しようとするロシアの闘いという構図になっています。
日本は西側諸国に属していますが、欧米を中心としたNATOには加盟していません。
まさしく、地理的、歴史的にも違う歩みをしてきましたが、2007年に安倍氏がNATO本部を訪問し演説を行って以来、NATO加盟各国が日本と緊密な協力関係を構築することに賛意を示し、その後、自衛隊の武器の多くはNATO共通規格となり、NATO国防大学上級コースへの自衛官の留学、海賊対策の共同訓練などと連携が深まっています。
今、自民党は「敵基地反撃能力」を「反撃能力」へと改称し、相手国の「指揮命令機能」まで攻撃目標とすることや防衛費のGDP1%枠を撤廃しNATO並の2%へ増額することを政府に申し入れています。
これらの根幹には、日本のNATO加盟の思惑が隠されているような気がします。
冒頭に、米国ブリンケン国務長官が発表した様に、岸田首相がNATO首脳会議に出席した場合、日本が米国の世界戦略に加担してアジアで初めてNATOに参加をする事になると受け止められ、ロシアを含めた中国や北朝鮮にとってもその事は不愉快な問題となるでしょう。
今日の道新によりますと、岸田首相は28日にドイツのショルツ首相と首脳会談を行い、日独間での安全保障協力の政府間協議を新設し、外務・外交閣僚会議(2+2)を早急に開くことで合意しました。
さらに、連休に訪れる英国などとの首脳会談では、軍事関係の強化も視野に協議を行うとのこと。まさしく、米国が目論む日本のNATO加盟に、日本自らが前のめりに動いていくことになります。
それを、周辺国が黙って見過ごしてくれる訳がありません。
日刊ゲンダイでは、防衛ジャーナリストの半田滋氏が「NATO加盟国は既に戦車や榴弾砲などといった攻撃兵器を提供していますから戦争に参戦しているのも同然で、日本も加盟国と同等と見られるのは極めて危険だと思います。」とコメントしています。
想定したくはありませんが、ロシアの北海道侵略が全く無いとは言えません。