日本脳炎
- 2014年05月20日
先般、七飯町の病院の小児科の先生から「日本脳炎のワクチン接種」についてお話を伺いました。
日本脳炎は、中枢神経疾患で、人からの感染ではなく、主に豚などの体内で増殖した日本脳炎ウイルスを小型アカイエ蚊が媒介して人に感染させるもので、発病すると数日間の高熱、頭痛などの症状の後に意識障害、痙攣等の脳障害を起こすかなりリスキーな病気です。
その発生状況は、東南アジアにかけて広く流行しており、毎年3万5千人から5万人の患者が発生、国内においても平成16年から25年までの10年間に59件が発生していますが、主に関東以西に発生し、北海道での発生は有りません。
そのせいか、全国で日本脳炎のワクチン接種を行っているにも関わらず、北海道だけワクチン接種が行われていません。
その理由が、①豚の抗体保有数が極端に少ない②北海道において患者の発生が無い③以前ワクチンの副反応で接種を控えたがその後、乾燥細胞培養ワクチンの開発で接種を再開したが、それでも副反応が少ないとは言えない。 と言うのが理由のようです。
北海道はこれまで、「北海道感染症危機対策協議会」の専門部会である「感染症流行調査専門委員会」において、その必要性を議論していましたが、ここには大学や研究機関の専門家はいても、医師会からの専門家は所属しておりませんでした。
しかし、道民といえども発生している関東以西に住むことは有りますし、出張や旅行などごく当たり前のように出かけて滞在します。また、大学入学でその地方に居住することも当然のごとくであり、また、東南アジアは身近な海外旅行先として人気がありますし、高齢者の長期滞在も今では流行にさえなっているのに、北海道生まれの方は、ワクチン接種をしていないことから、無防備状態となっています。
今年から、さきほどの専門委員会にやっと医師会のメンバーが入ることになり、ワクチン接種が必要化の検討を始めることになりますが、誰もが納得する合理的な結論を導き出して欲しいものと思います。